国際情報

『無職転生』巡り中国で大炎上 中国版”ポリコレ棒”が横行する背景

(写真/公式サイトより)

小説投稿サイトで人気のライトノベルがアニメ化された『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』(写真/公式サイトより)

 中国で日本の人気アニメ『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』が大炎上している。中国の有力インフルエンサ―が同アニメを猛批判したことでアニメの配信サイトに抗議が殺到し、サイトは配信を停止、スポンサー企業も相次ぎ広告出稿を取り止める事態に発展しているという。インフルエンサーの発言一つで、なぜこれほどの騒動へとエスカレートしたのか、中国の経済、社会に詳しいジャーナリストの高口康太さんが解説する。

 * * *
 日本アニメ『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』の中国における動画配信が中止された。その背景にあるのは、モンスタークレーマーの存在だ。「愛国愛党」を錦の御旗に、気に入らないコンテンツを踏み潰していく中国版“ポリコレ棒”が猛威を振るっている。

「無職転生」はライトノベルを原作にしたアニメで、今年1月から日本で放送され、中国の配信サイト「bilibili動画」でも配信されていた。部屋にひきこもっていた34才のニート男性が交通事故で死亡した後、剣と魔法の世界に生まれ変わる。第2の人生は本気を出して生きていき、ファンタジーの世界で成長、活躍するというストーリーだ。

 問題となったのは2月1日放送の第4話。父親の不倫シーンなどがあったことから既に波紋を呼んでいたが、アニメレビュアーとして活躍する中国の有力インフルエンサー・LexBurner氏が猛批判を加え、「そもそも(ニートの主人公に)共感できない」などと発言したことで一気に炎上。約900万人のフォロワーを持つ同氏の影響力は大きく、bilibili動画に抗議が殺到したばかりか、スポンサー企業に対するクレームも広がった。

 また、主人公が女性の使用済み下着を盗むなどの劇中の描写に対し、「女性を軽蔑している」と視聴者の批判が殺到し、生理用品ブランド「ソフィ」を扱うユニ・チャームなど、複数の企業が「女性に対する侮辱的な行為や発言は見逃せない」として、bilibili動画の旧正月キャンペーンの広告出稿の取り止めを発表した。一連の騒動を受けてbilibili動画は、「技術的な理由」があったとして『無職転生』の配信を中止し、コミュニティのルールに違反したとしてLexBurner氏のアカウントも閉鎖する処分に踏み切っている。

 と、経緯をまとめてみても、ピンと来ない人が大半ではないか。不倫シーンや主人公が元ニートだったことが配信中止につながるほどの大問題なのか、なぜインフルエンサーの批判がスポンサーの広告停止につながるのか?

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン