「号外速報」を配信
その後、2013年に株式会社地震科学探査機構(JESEA)を立ち上げ、「週刊MEGA地震予測」の配信を始めた。
同年、本誌・週刊ポストは〈地震予知で特許を取った異端の東大名誉教授〉という記事で村井氏を取り上げ、翌年から、定期的に予測を掲載してきた。
2016年4月の熊本地震(最大震度7)と10月の鳥取県中部地震(最大震度6弱)では、それぞれ発生3か月前の本誌で「熊本」と「鳥取」を新たな警戒ゾーンとして、警告を発した。2018年9月の北海道胆振東部地震(最大震度7)の発生1か月前もこの地域を6段階評価で上から2番目の危険度であると示していた。
「MEGA地震予測」のベースとなっているのは、国土地理院が日本全国約1300か所に設置した「電子基準点」のGPSデータである。
そのデータから地表のわずかな動きを捉え、基準点の1週間ごとの上下動を表わす「異常変動」、長期的な上下動を表わす「隆起・沈降」、東西南北のどの方向に動いているかを表わす「水平方向の動き」の3つの主な指標を総合的に分析している。
さらに昨年、過去1年分のGPSデータを学習型AI(人工知能)にインプットし、直近1週間の地表の動きと比較させることで、地震発生リスクを算出する地震予測を実用化。現在はその予測結果も「MEGA地震予測」に加味されている。
そんな村井氏は「福島県沖地震」発生後の2月22日、有料メルマガで初めて場所や時期、地震の規模を明示した「号外速報」を発表し、こう記した。
〈複数の解析データに異常が現れました〉
〈エリア:東北地方から北海道の太平洋岸の海域または陸域〉
〈時期:2/22~3/20位〉
〈規模:マグニチュード6.0±0.5〉
なぜ「号外速報」という形で発表したのか。
「福島県沖地震が起きたばかりですが、その後の様々な異常から、緊迫性が非常に高いと判断し、より強く警戒を呼びかけるべきだと考えました」