またBCGは長期の効果が見込める。というのも、BCGは接種後、5年から10数年ほど体内に生存、ワクチン抗原を産生し続けるからだ。
「以前から、BCGの遺伝子組換えで他の感染症のワクチン開発も考えられていましたが実用化されたものはありません。しかし、新型コロナのパンデミックにより、長期的に有効なワクチンの必要性があると考え、BCGの遺伝子組換え生ワクチンの研究を開始したのです」(松本教授)
BCGの遺伝子は4000ほどあり、どの場所に、どんな方法でウイルス抗原を組込むか、新潟大学と国立感染症研究所との分業で開発を行なっている。現在はワクチン効果のある複数の組み合わせが確認され、今年前半には動物実験で絞り込みを実施。その中から最適な組み合わせ候補を選び、結果良好であれば今年後半からヒトへの1相、2相の治験が開始される予定だ。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2021年3月19・26日号