芸能

大倉忠義&広瀬アリス『知ってるワイフ』が下剋上を果たせたのはなぜか

広瀬アリス演じる“鬼嫁”に悩まされ…(時事通信フォト)

広瀬アリスは“鬼嫁”を好演(時事通信フォト)

 放送前の評判と放送を重ねた後の評価が必ずしも一致しないのがドラマの醍醐味だ。今期のラインナップのなかで、「下剋上」を果たしたともいえそうなのが『知ってるワイフ』。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 いよいよ今週最終話を迎えた『知ってるワイフ』(フジテレビ系木曜)。原作は同名韓流ドラマでスタート当初は「韓流リメイクとジャニーズの組み合わせは期待できない」という声も聞こえていました。「今期ワーストドラマになりそう」とマスコミ関係者の間で指摘されていた(2021/01/28「サイゾーウーマン」)と伝える記事もあった。という逆風の中でスタートした作品ですが、その後の評価はどうしてどうして。

 オリコンのドラマ満足度調査ランキング(1月19日~25日放送を対象)では4位に上昇。100Pt満点で「初回は45Ptだったが、2話目で73Ptまで上昇し、放送ごとに数値を伸ばしている」「7話目で前週85Ptから5Ptダウンした80Ptを獲得」。視聴率についても初回が一番低くくて後は伸びることはあっても落ちることなくフィニッシュ。また、ドラマ放送中にツイッターが絶えずトレンド入り。今やSNSは人気ドラマのバロメーターの一つです。

 結末については韓流ドラマで多くの人が見ているけれど、日本版の最終話は「異なるオリジナル展開で描かれる」とアナウンスされ注目度もさらにアップしました。

 物語は…澪(広瀬アリス)に家事や育児を任せきりの銀行員・元春(大倉忠義)はうだつの上がらないサラリーマン。職場で上司に叱責され、帰宅すればモンスター化した妻に怒鳴られる。そんな生活に耐えられず、元春は過去にワープして「違う人生」の選択を重ねていくが……という夫婦の関係を描いた人間ドラマであり、時空を飛ぶというSFファンタジーの要素も含まれています。

「中盤からハマった」という視聴者の声も聞かれるように、回を重ねるごとに不思議な反響を集めていったその理由とは、いったい何だったのでしょうか?

 まず筆頭に挙げられるのが「リアルな夫婦の心情描写」です。細部を疎かにせず日常を活き活きと描き出すセリフ、演出、役者たちの演技が共感を呼んだ第一の理由でしょう。何よりも夫婦が「すれ違っていく」様がリアルでした。育児と家事、アルバイトと髪を振り乱しワンオペで追い詰められた妻・澪が、とうとうモンスターとなっていく様子に切実さと説得力があった。

 仕事を言い訳に家のことをスルーし、妻がたいして無理を言っているわけじゃないのになぜか行動しない。そんなダメ夫・元春を演じる大倉さんも、実に役柄にフィットしていて上手かった。「うちもそう」「元春とそっくりの夫の行動にどうしても納得いかない」と、澪の怒りは共感を呼び「あるある効果」を高めました。

 しかし。ただリアリティばかりを追求したのでは、満足度は維持できません。怒ってばかりの妻はあまりにも殺伐としていて自分を映す鏡のようで視聴者もへキエキとしてしまうはず。つまり、このドラマでは夫婦のすれ違いのリアリティと共に、ある別の仕掛けが効いていた。「本当はこうあって欲しい」という夢・理想を上手に挿入した点こそが、ポイントでしょう。

関連記事

トピックス

石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
川崎春花
【トリプルボギー不倫の余波】日本女子プロ2022年覇者の川崎春花が予選落ち 不倫騒動後は調子が上向かず、今季はトップ10入り1試合のみ「マイナスばかりの関係だった」の評価も
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
「中野駅前大盆踊り大会」前夜祭でのイベント「ピンク盆踊り
《中野区長が「ピンク盆踊り」に抗議》「マジックミラー号」の前で記念撮影する…“過激”イベントの一部始終
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
『東宝シンデレラ』オーディション出身者の魅力を山田美保子さんが語ります
《第1回グランプリは沢口靖子》浜辺美波、上白石姉妹、長澤まさみ…輝き続ける『東宝シンデレラ』オーディション出身者たちは「強さも兼ね備えている」
女性セブン
9月6日から8日の3日間、新潟県に滞在された愛子さま(写真は9月11日、秋篠宮妃紀子さまにお祝いのあいさつをするため、秋篠宮邸のある赤坂御用地に入られる様子・時事通信フォト)
《ますます雅子さまに似て…》愛子さま「あえて眉山を作らずハの字に落ちる眉」「頬の高い位置にピンクのチーク」専門家が単独公務でのメイクを絶賛 気品漂う“大人の横顔”
NEWSポストセブン
川崎市に住む岡崎彩咲陽さん(当時20)の遺体が、元交際相手の白井秀征被告(28)の自宅から見つかってからおよそ4か月
「骨盤とか、遺骨がまだ全部見つかっていないの」岡崎彩咲陽さんの親族が語った “冷めることのない怒り”「(警察は)遺族の質問に一切答えなかった」【川崎ストーカー殺人】
NEWSポストセブン
シーズンオフをゆったりと過ごすはずの別荘は訴訟騒動となっている(時事通信フォト)
《真美子さんとの屋外プール時間も》大谷翔平のハワイ別荘騒動で…失われ続ける愛妻との「思い出の場所」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン