一方で避難に必要ではないが、持ち出しがちなものを教えてくれた。
「身分証明書さえあれば、通帳は銀行が再発行してくれるし、印鑑に関しても後から銀行印を改印できますから優先順位は低い。また位牌を持って避難するかたも多いですが、おすすめできません。故人との思い出が詰まっているので大切にしたい気持ちはわかりますが、東日本大震災のときに起きた火災では、これらを取りに戻ったために亡くなってしまったかたもいらっしゃいました」(藤尾さん)
では、このような「避難させたい品」はどうしたらよいのだろうか。藤尾さんは、“避難先”として家庭には欠かせない家電を挙げる。
「金庫などがない場合、冷蔵庫を応用しましょう。密閉性が高いですし、中の温度も低く、一般家庭にある家電の中では最も燃えずに残る可能性が高い。重くて持ち出せない物などは、冷蔵庫に入れてから逃げるのです」
また理学博士で火災鑑定人の鈴木弘昭さんは、多くの人が残しておきたいと考えるであろう写真の避難方法を話す。
「アルバムごと浴槽の中に入れてふたをして、避難させるのもよいと思います。またアルバムの上に布団を重ねてかけておき、床を水で濡らしておく手もあります。そうすれば、消火が間に合ってアルバムが助かることがあります」
※女性セブン2021年4月1日号