10年前の“2人”から大躍進した共学校
一方、10年前から大きく伸びた学校もある。11位の東京都市大等々力は、10年前には青山学院大と法政大に1人ずつの2人しか合格者がいなかった。それが今年は296人に増えている。
東京都市大等々力は元は中高一貫女子校の東横学園だった。2009年に武蔵工業大と東横学園が合併して東京都市大となったことから現校名になった。
両校は東急グループ創始者の五島慶太が設立した学校だ。翌2010年に共学部を設置し、2015年には中高とも共学となった。進学にも力を入れる教育で実績が伸びている。東京都市大とも連携を深め、理数教育にも力を入れている。
合格者数の多さで上位独占の公立校
また、表中でもっとも合格者が多かったのが、17位の湘南の987人、次いで11位の横浜翠嵐の939人、10位の船橋・県立の915人で、公立校が上位を占めた。
かつては私立中高一貫校が上位を占め、「1人で何校も合格して実績をかさ上げしている」などと言われることも多かったが、今は公立高のほうが合格者が多くなっている。私立中高一貫校より公立高のほうが卒業生が多いということもある。
公立のトップ校では、コロナによる休校期間の不安から、現役進学志向が強くなって受験校が多くなったのかもしれない。
今年の実績では、全体として公立高の躍進が目立ったが、来年はどうなるのか。コロナ禍の先行きが不透明なこともあり、まだまだ予断を許さない。ただ、オープンキャンパスなど志望校の情報だけは、受験生に十分に入手できるようになってほしいものだ。
●文/安田賢治(大学通信常務取締役)