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国連報告書が明かす北朝鮮コロナ禍 餓死や物乞い増加で支援も混乱

北朝鮮の市民生活がコロナ禍で不安定に

北朝鮮の市民生活がコロナ禍で不安定に

 新型コロナウイルスの感染が拡大する北朝鮮で、食糧難の影響ですでに餓死者数百人が出ているほか、路上で物乞いをする子供や高齢者が増加していることが、国連の調査によって明らかになった。また、法律違反で死刑になる危険を覚悟しながら中国からの密輸された食品を入手しようとする市民も出るなど、市民生活が不安定になっているという。

 さらに、北朝鮮第3の都市、清津市を擁する咸鏡北道では感染者数が1万3000人を超えているほか、100人以上の死者が出ている。北朝鮮全体では感染者数は10万以上で、死者数も1000人を超えているとの報道もある。

 国連人権理事会(UNHRC)の定期理事会が3月、ジュネーブの国連事務局で開催され、北朝鮮における新型コロナウイルス感染に関する報告書が発表された。

 報告書では、「北朝鮮が中国との国境を1年以上も封鎖しているために、中国に頼っていた食糧や日用品が極端に不足しており、一般国民の間で深刻な経済的困窮が生じ、食糧不安が増大している」と述べたうえで、「餓死の例が報告されており、家族が扶養できなくなった児童や高齢者が物乞いを行うケースが増加している」と記されている。

 また、報告書によると、食糧難に陥った人々のなかには、射殺される危険を冒して、中国に越境して、密輸や他の違法行為を犯す者も出ているとのこと。具体的には「2020年12月、中国との違法取引に関与した容疑で50代男性が公開処刑になった。また、2020年11月にも密輸に関与した容疑で国境警備隊員ら4人が銃殺されるなど、処刑される人々が増えている」とも記されている。

 UNHRCなど国連の諸機関は北朝鮮への食糧支援を行っているが、北朝鮮が国境を閉ざしているため、支援物資は数か月間も中国国境に足止めされて、国内に届かず、「国際的な人道支援活動が混乱状態に陥っている状態だ。

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