ビジネス

東芝2兆円買収騒動 電撃辞任の前社長と経産省が描いたシナリオ全内幕

東芝でいったい何が起きているのか?(時事通信フォト)

東芝でいったい何が起きているのか?(時事通信フォト)

 日本を代表する家電大手、東芝に激震が走っている。4月14日に開かれた臨時取締役会で、社長だった車谷暢昭氏が突然、退任を表明。前社長の綱川智会長が後任となった。折しも外資系ファンドによる大型買収提案が報じられたばかりで、その時点では前社長の車谷氏も「検討する」と応じていた。東芝に何が起きているのか。社長の電撃辞任までの内幕と未来像をリポートする。

“寝耳に水”ではなかった

 4月7日、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが、東芝に対しTOB(株式公開買い付け)による買収を提案したことが報じられた。東芝への初期提案では4月6日終値の株価に上乗せした買収額を提示したとされており、総額兆円を超える巨額買収になる。

 復活途上にある「日の丸家電」の代表格に、外資から巨額買収提案──この報道に財界は大騒ぎとなったが、当の東芝は冷静だった。『東芝解体』の著者でジャーナリストの大西康之氏は、そこに疑問を呈す。

「CVCの買収提案が明らかになった際、メディアが車谷暢昭氏の自宅で直撃取材していますが、車谷氏はその事実を認め、取締役会に諮ると説明した。一般に、こうした買収提案は“寝耳に水”のはずで、ノーコメントで対応するのが通常です。

 今回の買収提案は車谷氏にとって願ってもないタイミングのため、前々から買収提案に関与していたのではないかという見方が出ています」

 東芝は2015年に不正会計が発覚して経営危機に陥り、債務超過から脱却して上場廃止を回避するため、2017年に約60社の海外投資家に対して6000億円の増資を実施した。さらに稼ぎ頭の半導体メモリー事業を売却するなどして破綻を回避した東芝は、今年1月に東証一部に復帰したばかりである。

 しかし一方で東芝はこの間、救世主だった海外投資家から“突き上げ”を食らっていた。

「アクティビスト(物言う株主)として知られるエフィッシモ・キャピタル・マネジメントは、昨年7月の株主総会でガバナンス強化のため、取締役の選任を要求したが、東芝側はこれを拒否、総会でも否決された。

 ところが9月に議決権の一部に不適切な処理があったことが発覚したことから、エフィッシモは今年3月、臨時株主総会で調査を提案し、賛成多数で可決された。この調査結果は今年6月の株主総会で発表されますが、その内容次第で東芝の経営体制に大きな影響を及ぼすと注目されていました」(経済誌記者)

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン