芸能

加山雄三の追憶「田中邦衛さんがいたから“若大将”は輝けた」

加山雄三が田中邦衛さんとの思い出を振り返る(写真/共同通信社)

加山雄三が田中邦衛さんとの思い出を振り返る(写真/共同通信社)

 その唯一無二の存在感で、時に朴訥な父親、時に狡猾なヤクザなど幅広い役柄を演じてきた俳優の田中邦衛さんが3月24日に亡くなった(享年88)。『網走番外地』『仁義なき戦い』『北の国から』はじめ多くの作品で活躍したが、広く知られるきっかけとなったのは、1961年から始まる『若大将』シリーズだった。

 主演の加山雄三(84)はじめ、同シリーズで活躍した関係者らは、何を思うのか──。

「邦さんに連絡をとりたくてとりたくて、ずっと気になってて、不思議なことに、2日前若大将のDVDで邦さんの姿を見たばかりだったんだよ」

 突然の訃報を受けて、そうコメントしたのは加山雄三(84)だ。『若大将』シリーズで主演の加山が演じた“若大将”は、ルックス抜群、スポーツ万能なお坊ちゃん。そのライバルとして対抗するのが田中さん演じる“青大将”だった。

「貧乏育ち」と「お坊ちゃま」

 田中さんは出演の経緯をこう語っていた。

〈おいらは、どちらかっつうと不良で不健康な方だったので、青大将の役は自分に向いているというか、かなりいい線いくんではないかと意欲を燃やしたことを今でも鮮明に覚えています。加山さんに初めて会った時、とにかく新劇がすべてと思っていたおいらに「何も役者だけが人生ではないよ」というような大きな空気を持っていて、おいらに湘南の風を運んできてくれたような、そして視野を広くしてくれたような人です〉(『The Bigman』1990年8月号)

 そんな加山も本誌・週刊ポスト(2017年12月1日号)でこう振り返っていた。

「青大将の田中邦衛さんとは、映画でもプライベートでも最高のコンビでした。彼は5歳も年上で、共演する前に黒澤明監督の『悪い奴ほどよく眠る』(1960年)に出ているのを観ると殺し屋の役でね。この人が青大将なんておっかねぇなあ、とんでもないなあって身構えましたよ。でも、会ってみたらそういう印象とまったく違って、優しくてユニークな人でした」

 自身を「貧乏育ちの劣等生」と語る田中さんは、当時住んでいた赤坂の三畳間に「茅ケ崎のお坊ちゃま」だった加山が泊まりに来たものの、部屋を見て「やっぱり帰るわ」と帰ってしまった──そんなエピソードをインタビューで明かしていた。

 大ブームとなった「若大将」シリーズは1981年の『帰ってきた若大将』まで20年間にわたり計18本が制作された。“青大将”の人気にも火がつき、『若大将対青大将』(1971年)まで作られたほどだった。

関連記事

トピックス

今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・イメージ 写真はいずれも当該の店舗、販売されている味噌汁ではありません)
《「すき家」ネズミ混入味噌汁その後》「また同じようなトラブルが起きるのでは…」と現役クルーが懸念する理由 広報担当者は「売上は前年を上回る水準で推移」と回答
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン