葛藤と格闘がたくさんあった人生ほど、相手を肯定する力もまた強い。中村さん自身、仕事がなかった下積み期間も長くキツい精神状態をくぐり抜けてきた人。
「現場で『誰だこいつ』という状態から切り拓いていくのがスリリングというか、ゲリラ戦みたいな感じだった」(「同」4月15日)と振り返る過去。そうした厳しい時期も含めての人生が、そのまま役作りの糧になっていく。全て捨てゼロから役になりきれる力が、光を放つ源かもしれません。
ただ、このドラマの見所は中村さんの演技だけに留まりません。
毎回出てくるゲストがキレている。夏帆、貫地谷しほり、臼田あさ美とそれぞれのテイストを持ち寄って個性を出しきっていて爽快です。第1・2回の放送ではゲストに女優陣が目立ちましたが、今後は磯村勇斗に加えて戸次重幸、滝藤賢一、光石研……と個性の強い男優陣も次々に登場し、際立った演技を見せてくれそう。もう、役者好きにはたまらない。
一見、誠実そうで相手の話をよく聞き人の感情を受け止めてばかりの人なんているのかな、と素朴な疑問が湧いたタイミングで、青山自身の過酷な過去が紐解かれていく。そう、優しいだけの青山なんていない。「人を殺したことがある目」と指摘された青山、さあこれからどんな展開が待ち受けているのか。目が離せません。