もう1つが日経賞で、6勝2着10回3着8回。今年はウインマリリン、カレンブーケドールと牝馬が1、2着を占めた。牝馬が2500mの日経賞を勝ったのは、1988年以来33年ぶりというが、こちらだって出走頭数が少ない。過去10年でわずかに8頭。そのなかで2016年にはマリアライトが3着、今回1、2着というから確率的には悪くない。

 もちろん距離適性はあるだろうが、ヴィクトリアマイルを目指す牝馬は、これらの中長距離レースを使う必要がなかったというだけだ。

 で、天皇賞(春)に出走した牝馬だが、GⅠで牡馬と対等以上に戦っていたのは、イクノディクタスとデニムアンドルビーぐらい。前者はメジロマックイーンやライスシャワーを、後者はゴールドシップやキズナを相手にしなければならなかった。

 他の牝馬はどちらかといえば、長距離適性を見込んでのチャレンジという印象。2005年のアドマイヤグルーヴは天皇賞(秋)3着こそあるが、牝馬戦での活躍馬という印象。エリザベス女王杯連覇だが、1週待ってJCに向かうことはなかった。

 できればクロノジェネシスはこちらに出てきてほしかったが、今年の牡馬陣相手なら3歳時にエリザベス女王杯ではなくJCを選んで2着だったカレンブーケドールも実績で負けていない。先頃QEⅡ世Cを勝ったラヴズオンリーユーと同タイム2着だったオークス以後はすべて2000m以上のレース。昨年はドバイシーマクラシックのため現地入りしたが中止となり、休養を余儀なくされた。復帰戦のオールカマーでは、向正面で早めに仕掛け、直線抜け出したがゴール直前で差されて2着。伝説の一戦となった昨年のJCは、あわや3強の一角に食い込むハナ差4着。勝ち切れないもどかしさはあるが、3200mになって本領を発揮する可能性は十分。2周目が内回りなので、前半折り合いさえつけば、終いはしぶとく伸びてくる。

 日経賞でそのカレンブーケドールを振り切ったウインマリリンも長い距離では底を見せていない。オークスでは三冠牝馬からコンマ1秒。2000mや2200mでは距離不足だったのではないかとも感じられる。

 牡馬では、有馬記念の大敗に目をつぶってオーソリティ、定番菊花賞馬のワールドプレミア。3000m以上の走り方を覚えたようなシロニイは、テレビで見ていても一目でポジションが分かるので応援しやすい。もう1頭の牝馬メロディーレーンは心の中で応援する。

●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。

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