野球ファンなら誰もがそのレベルの高さを認める東都大学リーグで、デビュー早々ホームランを量産し、1年生とは思えない活躍を見せる青山学院大のルーキー佐々木泰内野手。大学野球の本塁打記録の更新に期待が高まるとともに、早くも4年後のドラフトの超目玉としてプロから注目を集め始めている。野球界の次代のスター候補生が、自らの未来像を本音で語った。
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大物ルーキー、阪神タイガース・佐藤輝明の期待通りの活躍に湧く今年のプロ野球。大学野球にも、野球界の未来を担うスター候補生が現れた。
打つだけでなく、守備ではサードを守り強肩、俊足。そのうえ爽やかなイケメンと、三拍子も四拍子も兼ね備えた姿は、同じ青学大出身でかつて神宮を湧かせた井口資仁(現・千葉ロッテ監督)とイメージが重なり、スポーツ紙はすでに「井口2世」のフレーズを使い始めている。
県立岐阜商業時代から、高校通算41本塁打を記録しプロのスカウトに注目されていたが、あえて大学進学という進路を選んだ。そうなれば、これだけの選手だけに、数多くの大学から誘いがあったはず。
ブランドでいえば東京六大学だ。長嶋茂雄、田淵幸一、高橋由伸と、それぞれの時代のスター選手を輩出し、今も毎年、甲子園で活躍した有力選手が続々と入学している。
だが、佐々木が選んだ青学大が所属するのは、同じ神宮球場を拠点にするとはいえ、「戦国」と呼ばれ、毎シーズン激しい順位争いが繰り広げられる東都大学リーグ。
なぜ“華の六大学”ではなく“戦国東都”、そして“青山学院”だったのか?
佐々木は「施設の面でも充実していて、野球をする環境が整っているから」とその理由を口にする。もちろんそれも本心だが、それ以上に、人の“縁”により導かれた道筋があった。