ホンダに求められる充電特性の改善と低価格化

 だが、451万円ないし495万円という高価格が気にならないのであれば、不便さを押してHonda eを所有することはまるっきり意味のないことではない。絶対条件は他のBEVと同様、戸建て住宅あるいは充電設備のある集合住宅に住んでいることである。自宅で100%充電できれば、ちょっとした行楽くらいは十分にこなせる。

Honda e(鹿児島北部の長島にて)

Honda e(鹿児島北部の長島にて)

 筆者は3名乗車でワンデードライブも試してみた。鹿児島市をスタートし、宮崎との県境にある標高1200mの「えびの高原」まで走り、鹿児島市に戻るという約170kmのルートであったが、充電率の変化はスタート時98%から帰着時6%であった。日常ユースに加え、遠出をしてもせいぜいこのくらいというカスタマーなら十分カバーされる。

 仮に出先で急速充電器(最大電流96~200アンペア)で1回、30分充電すると、旅行距離はそこから100km強伸びる。2回なら通算で400kmが視野に入る。東京都心起点で言えば、飛ばさなければ奥日光くらいまでは十分に届くという感じである。

 が、ホンダが早急に取り組むべきは現状のHonda eでいいと言ってくれるカスタマー探しではなく、充電特性の改善と低価格化だ。それさえできれば走り味は上質、小回り性能抜群、形も小意気なHonda eはあっという間に人気者になれるだけの素養を持っている。ホンダのブランド価値を上げる一助ともなるだろう。

 果たしてホンダが次の一手をどう打ってくるか、大いに見ものである。

ホンダのEV戦略はどこまで進化できるか(Honda e)

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