芸能

田中健「いい作品に出るより、どうやって食べていくかが大事」

俳優・田中健が語る「食べ続けていくには?」

俳優・田中健が語る「食べ続けていくには?」

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏による、週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優・田中健が、時の総理大臣や悪役を演じる面白さと難しさ、さらには楽器ケーナとの出会いについて語る。

 * * *
 田中健は二〇〇五年と〇六年に現在進行形の政局をドラマ化したテレビ東京の『ザ・決断!』で時の首相である小泉純一郎を演じ、その再現性の高さが話題になった。

「僕にはモノマネはできませんから、資料をいっぱいもらいました。でも、その資料は記者会見とか、普通に我々が観ている映像なんです。執務室でどうだったのかが分からない。

 それで記者の方々にたくさん聞きました。『小泉さん、普段はどんな人ですか?』と。すると、みんな『ほとんど人の話を聞いてないです』と答える。『うんうん』と聞きながら、どこか遠くを一点に見ている。その時、他のことを考えているわけです。

 人に何を言われても自分ではすでに何か先のことを考えている。そういう性格が見えてきて大きなヒントになりましたね」

 近年では時代劇や刑事ドラマなどで悪役のポジションに回ることも増えてきた。

「本当は、もっと早くに悪役をやっておけばよかったと思っています。

 悪役って難しいんです。善人より難しい。いっぱい考えないといけませんから。ですから、あまり自信がなかったんです。

 悪役って、何をどうやってもいい。セリフにしても、笑いながらでも怒りながらでもいい。しれっとしていてもいい。全て本心を隠した腹芸をするのが悪役ですから。

 演技をどう選別するかを自分で考えるのが悪役です。そこはとても面白いですし、勉強になります。

 若い頃は『言葉の裏側』などを考えることもできませんでした。その純粋さがかえって良かったのかもしれません。裏のない、直滑降に自分の想いをぶつける役ばかりでしたから。

 それが今は裏側しか考えられない。この言葉の裏には何があるんだろう、と」

関連キーワード

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン