次の対戦では生え抜き選手の奮起に期待
屈辱に塗れた生え抜き選手も、悔しさを忘れていなかった。1987年の日本シリーズ第6戦の8回裏、センター前ヒットで1塁ランナーの辻発彦にホームインを許した時、中堅手のクロマティのカットマンに入っていたショートの川相昌弘は、1994年3月20日のオープン戦で雪辱した。1回裏1死一、二塁の場面で、落合がセンター後方にフライを打ち上げると、二塁走者の川相は一気にホームインしている。
「今の選手たちも昨年、一昨年の2年連続日本シリーズ4連敗という悔しさは胸に残り続けている。14連敗を止めた試合はスモークの活躍に助けられましたが、怪我で離脱中の坂本勇人を始め、この日決勝ホームランを放った岡本も1本だけで満足するはずもない。1勝でコンプレックスを払拭できるとは思えないが、交流戦で1勝できたことは大きい。
単純に考えれば、中日がソフトバンクに2勝1分だったが、巨人は中日にリーグ戦で勝ち越している。昨年の終盤は巨人が調子を落とし、ソフトバンクが上がり調子で日本シリーズに臨んだことも大きく関係したでしょう。他チームから移籍してきた選手に助けられた分、次の対戦では生え抜き選手がもっと奮起するでしょう」
1994年の巨人対西武の日本シリーズでは、第4戦の9回にデーブ大久保が古巣相手に代打同点アーチを放ったり、王手をかけた第6戦ではコトーが先制の口火となる三塁打、試合を決定付けるホームランを放った。その一方で、1990年の4連敗の初戦に打たれた槙原寛己が2完投勝利でMVP、1勝1セーブの桑田真澄が優秀選手賞に選ばれるなど、移籍組と生え抜きが、戦力としてうまく融合していた。今回は移籍組の活躍でソフトバンク戦の連敗をストップさせた巨人。今後、苦手意識を完全に払拭するためには、生え抜き選手の奮起も必要となるだろう。