スポーツ

あれから23年、「衝撃の落選」がなければカズはもう引退していたか?

W杯フランス大会出場の夢実らず、帰国後記者会見した三浦知良(左)と北沢豪(時事通信フォト)

W杯フランス大会出場の夢実らず、帰国後記者会見した三浦知良(左)と北沢豪(時事通信フォト)

「衝撃の落選」から23年が経った──。1998年6月2日、フランスW杯を直前に控えたサッカー日本代表の岡田武史監督(当時)は、合宿地のスイス・ニヨンで「外れるのはカズ、三浦カズです」と三浦知良のメンバー漏れを発表した(同時に北沢豪、市川大祐も落選)。強ばった表情が事の重大さを表していた。

 カズは長年、日本のエースとして君臨してきた。1992年のアジアカップでは初優勝の立役者としてMVPに選ばれ、1993年に開幕したJリーグでも初代MVPに輝いた。同年のアメリカW杯最終予選では4点を決め、大会得点王に。勝てば出場の決まる最終戦のイラク戦でも先制ゴールを挙げる。だが、ロスタイムに追いつかれ、W杯出場は果たせなかった。まさかの幕切れは“ドーハの悲劇”と呼ばれた。

 雪辱を期した1997年のフランスW杯最終予選、カズは9月7日の初戦ウズベキスタン戦で4ゴールを挙げる大活躍を見せる。しかし、3戦目のホームの韓国戦で尾てい骨を痛め、その後も強行出場したことで、状態は悪化。ゴールから遠ざかり、チームは勝てない。30歳の“ベテラン”カズはバッシングの対象となった。

 同年9月に開設されたカズのホームページの掲示板には「引退しろ」「点の取れないFWはいらない」「もうお前さんの時代やない」などの書き込みが相次いだ。10月、管理人が削除した悪質な誹謗中傷は全体の3割にも及んだという(1997年12月22日放送のNHK総合『W杯へ 試練の71日間 ~カズが語るアジア最終予選~』参照)。

 10月26日、ホームのUAE戦で引き分けると、試合終了後に国立競技場の玄関を出たカズにサポーターが「もうやめちまえ!」「何やってんだ!」と罵声を浴びせ、愛車にモノを投げ付けた。日本代表のエースを取り巻く空気は異様だった。スポーツ紙にも、ネガティブな見出しが並んだ。

〈カズ 無視され激怒 PK練習志願もGK陣拒否〉(10月10日 日刊スポーツ 1面)
〈カズ監禁 日本ドロー国立暴動 5000人ファン切れた!! イレブンと競技場内に30分〉(10月27日 日刊スポーツ 1面)
〈ゴン中山 決戦スタメンだ ドゥンガ絶賛「カズは衰えた」〉(11月10日 東京中日スポーツ 1面)

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン