芸能

村上弘明 ボディスラムを修得した舞台で「初めて演技が楽しいと思えた」

俳優・村上弘明はプロレスを題材にした舞台『タンジー』に主演したことが大きな転機になったという

俳優・村上弘明はプロレスを題材にした舞台『タンジー』の主演が大きな転機になったという

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏による、週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優・村上弘明が、『仮面ライダー』後に味わった挫折と、プロレスを題材にした舞台でつかんだ転機について語った言葉を紹介する。

 * * *
 村上弘明は『仮面ライダー』が終了した一九八〇年、『御宿かわせみ』(NHK)に下っ引き役で出演、初の時代劇レギュラーとなった。

「『セリフを江戸弁で』と指示されましたが、どう発音したらいいのかまったく分からない。最初に現場に行ってリハーサルをやった時は、さんざんでした。

 ディレクターに落語家の古今亭志ん朝さんのテープを渡されて、『こういう風に巻き舌でやってくれ』と言われるわけです。でも、そんなのなかなかできるものではありません。それで登場シーンを削ってもらうことになりました。放送は半年間でしたが、出番は少し。あの頃は演技にまるで自信がありませんでした」

 一九八三年にプロレスを題材にした舞台『タンジー』に主演、これが大きな転機となる。

「次の『タンジー』という舞台は、事務所に言われるままオーディションを受けたのですが、合格しました。

 これはレスリングで表現する芝居で、本番の半年くらい前から目黒にある女子プロレスのジムに通って体力をつけたり、プロレス技を身につけたり、本格的な訓練をやりました。飛び蹴りとかボディスラムもマスターしましたね。

 それくらいしっかり稽古していると、セリフも自然に頭に入ってくる。動きもセリフも肌に染みついてくると、緊張しなくなるわけです。

 しかも本番ではお客がドカーンと沸いてくれる。そうなるとこちらも乗ってくる。それで、早めに劇場に入って相手役とアイデアを出し合い、いろいろ試してみるようになりました。すると、さらにお客が盛り上がるんです。

 そうやって試行錯誤していくなかで、初めて演技が楽しいと思えました。自分が表現することによって、お客さんの気持ちが動く。それが直接伝わってくるんです。これは本当に嬉しかったですね」

関連キーワード

関連記事

トピックス

趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン
自殺教唆の疑いで逮捕された濱田淑恵被告(62)
《信者の前で性交を見せつけ…》“自称・創造主”占い師の濱田淑恵被告(63)が男性信者2人に入水自殺を教唆、共謀した信者の裁判で明かされた「異様すぎる事件の経緯」
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
NEWSポストセブン