芸能

カメラマンが語る雑誌『Momoco』の撮影裏話 アイドルとの2泊3日の旅

人気グラビアページはどう生まれた?(『Momoco』1988年7月号 表紙/渡辺満里奈)

人気グラビアページはどう生まれた?(『Momoco』1988年7月号 表紙/渡辺満里奈)

 1983年創刊のアイドル雑誌『Momoco』の巻頭グラビア「Momoco写真館」は創刊号から、写真家の小澤忠恭氏が撮影を担当した。篠山紀信氏の元から独立して4年目、当時32歳の彼は、どのようにして人気グラビアページを生み出したのだろうか。小澤氏が当時を振り返る

 * * *
 いくら忙しいアイドルでも2泊3日の旅で撮影しようと編集部に提案しました。ところが売れっ子は時間が取れないから、必然的に新人が多くなる。これが業界の常識を壊しました。

 当時、『明星』『平凡』のような芸能雑誌では、新人アイドルは小さいモノクロ記事からスタートする。その後、1、2ページのカラーに昇格し、スターになったら巻頭を飾れる。

『Momoco』はこの順番を無視して、いきなり新人に巻頭カラー16ページを割いた。他の出版社に行くと、「芸能界おかしくなっちゃうよ」と怒られました。でも、予定調和を壊したから読者に受けた。部数がどんどん伸びるので、事務所も無視できなくなり、治外法権のような雑誌になりました。登場してくれたアイドルは事務所やレコード会社の一推しの新人。陽気で希望に満ち溢れていた。だから表情も堂に入っていました。

 撮影では「心からの笑顔」と「恋している時の真顔」の落差で彼女たちの魅力を引き出そうと考えていました。15年くらい前、酒井法子さんと仕事をした時、「小澤さんって1回も『笑って』と強制しなかったよね」と言われました。

 注文から生まれる笑顔は大したことないんですよ。ただ、「誰かに勝つとか負けるとか考えないで。嫉妬が表情に出るから」というお願いはしました。無理な笑顔も泣き顔もいらない。レンズを向けながら、心の中で彼女たちに「輝け!」と叫んでいました。本物の輝きを撮るために、2泊3日が必要だったんです。

 寝そべってもらい、胸元が見えそうで見えない写真も狙いました。緩みのある衣装を着てもらいましたし、ブラジャーをしないで撮影に臨む子もいました。写真には写らないけれど、彼女たちの覚悟が色っぽさを醸し出していた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
中川翔子インスタグラム@shoko55mmtsより。4月に行われた「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2025」には10周年を皆勤賞で参加し、ラプンツェルの『自由への扉』など歌った。
【速報・中川翔子が独立&妊娠発表】 “レベル40”のバースデーライブ直前で発表となった理由
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
〈一緒に働いている男性スタッフは彼氏?〉下北沢の古着店社長・あいりさん(20)が明かした『ザ・ノンフィクション』の“困った反響”《SNSのルックス売りは「なんか嫌」》
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン
奈良公園で盗撮したのではないかと問題視されている写真(左)と、盗撮トラブルで“写真撮影禁止”を決断したある有名神社(左・SNSより、右・公式SNSより)
《観光地で相次ぐ“盗撮”問題》奈良・シカの次は大阪・今宮戎神社 “福娘盗撮トラブル”に苦渋の「敷地内で人物の撮影一切禁止」を決断 神社側は「ご奉仕行為の妨げとなる」
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
《“手術中に亡くなるかも”から10年》79歳になった大木凡人さん 映画にも悪役で出演「求められるのは嬉しいこと」芸歴50年超の現役司会者の現在
NEWSポストセブン
花の井役を演じる小芝風花(NHKホームページより)
“清純派女優”小芝風花が大河『べらぼう』で“妖艶な遊女”役を好演 中国在住の実父に「異国まで届く評判」聞いた
NEWSポストセブン
第一子を出産した真美子さんと大谷
《デコピンと「ゆったり服」でお出かけ》真美子さん、大谷翔平が明かした「病院通い」に心配の声も…出産直前に見られていた「ポルシェで元気そうな外出」
NEWSポストセブン
2000年代からテレビや雑誌の辛口ファッションチェックで広く知られるようになったドン小西さん
《今夏の再婚を告白》デザイナー・ドン小西さんが選んだお相手は元妻「今年70になります」「やっぱり中身だなあ」
NEWSポストセブン