国際情報

再燃したコロナの武漢流出説 解明のカギを握る米英の諜報機関

武漢流出説、なぜ今再燃?(写真/AFP=時事)

コロナ武漢流出説、なぜ再燃?(写真/AFP=時事)

 5月下旬、バイデン米大統領が新型コロナの“起源”について噂されてきた「武漢ウイルス研究所流出説」を再調査するよう命じ、6月11日から開催されたG7サミットでも、米国務長官が中国側に情報を開示するよう求めている。

「研究所流出説」と言えば、昨年初め頃、疑惑として取り沙汰されたが、専門家や主要メディアの多くがトランプ前大統領による“反中国の陰謀論”として扱い、検証されてこなかった。

 それが今、なぜ再燃しているのか。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が明かす。

「私は2020年1月の時点で、米情報機関の関係者から、CIAが『武漢ウイルス研究所内からコロナウイルスが漏れ出た可能性がある』、『同研究所で中国人民解放軍との共同プロジェクトが進められていた』との調査結果を得ていたことを聞いていました。CIAの調査は『生物兵器として軍事使用される可能性』も視野に入れていたようです。

 昨春頃には元CIA長官のポンペオ国務長官もこうした分析をもとに中国を追及しましたが、トランプ政権が主張することでかえって“陰謀論”扱いされ、米主要メディアもこぞって否定した。中国側は『米軍が武漢に持ち込んだ』などと反論していた」(同前)

 米大統領選が本格化しパンデミックが深刻化すると、コロナの起源をめぐる議論は下火になった。

「しかしその間もポンペオ長官は再調査を指示していた。今年1月、トランプ氏の退任直前に国務省は『2019年秋には同研究所内で疑わしい患者が出ていた』、『同研究所から漏れた可能性がある』、『同研究所が人民解放軍と共同研究を行なっていた』という報告書を公式に発表しました」(同前)

 研究所流出説の再燃にはこんな調査の“貢献”もあった。

 民間のネット調査団体「DRASTIC(ドラスティック)」の有志は、中国国内の論文データベースなどを徹底的に調べ上げ、新型コロナの近縁種である「SARS関連ウイルス」を同研究所が長年にわたり雲南省の鉱山の坑道から何種類も収集してきたこと、2012年には同坑道でコウモリの糞を除去していた男性3人がSARSのような症状で死亡していたことなどを今年5月までに突き止めた。

 これが米国の著名な科学者にも認められ、「流出説」の再調査を求める声が高まったのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
【長野立てこもり殺人事件判決】「絞首刑になるのは長く辛く苦しいので、そういう死に方は嫌だ」死刑を言い渡された犯人が逮捕前に語っていた極刑への思い
NEWSポストセブン
ラブホテルから出てくる小川晶・市長(左)とX氏
【前橋市・小川晶市長に問われる“市長の資質”】「高級外車のドアを既婚部下に開けさせ、後部座席に乗り込みラブホへ」証拠動画で浮かび上がった“釈明会見の矛盾”
週刊ポスト
米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
新聞・テレビにとってなぜ「高市政権ができない」ほうが有り難いのか(時事通信フォト)
《自民党総裁選の予測も大外れ》解散風を煽り「自民苦戦」を書き立てる新聞・テレビから透けて見える“高市政権では政権中枢に食い込めない”メディアの事情
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
NEWSポストセブン