「湖池屋プライドポテト」誕生エピソード
――2017年から発売した「プライドポテト」のヒットは大きいですね。
野間:2016年に佐藤(章社長/前職はキリンビバレッジ社長)が着任して以降、それまで私たちが見る機会がなかった飲料の世界の話などをいろいろと聞かせていただく機会が増えました。
その佐藤から「マーケティングとは生活者すべての中にどう入っていくかだから、そういう視点で物事を考えなさい」と教わってから、社内は明らかに変わってきましたし、特にここ3年ぐらいで新しい商品群がしっかりと育ってきました。
佐藤の話を聞くと、たとえば紅茶や緑茶、コーヒーも、原産地や茶葉の煎り方などで価値が全く変わってくるんだと。私たちはそういう目線で商品を区切ったことがなく、ポテチの製法やじゃがいもの素材そのものでそんなに差を出そうなんて、考えたこともありませんでした。従来とは違った目線のスイッチをガツンと入れてもらった感じで、その結果生まれたのが、“ワンランク上の贅沢”をコンセプトにした「プライドポテト」でした。
「スナックはお菓子ではなく料理」
――最近は、“スナックはお菓子ではなく料理”を掲げ、「ポテトと料理(デミグラスハンバーグとタルタルフィッシュの2種)」も発売していますが、将来はじゃがいもを揚げない商品なども出てくるのでしょうか。
野間:あるかもしれませんね。スナック菓子という土台の考え方を広げていくと、じゃがいもを使って違う料理にするとか、違う食べ物を作るとか、可能性は限りなくあると思います。
近年は朝昼晩にしっかり3食食べる方が、若い人を中心に減ってきています。午後に眠くなるからお昼は少量でいいとか、昼時は食べずに3時とか4時頃にちょっと何かをつまんで夕食までもたせるとか、そういう生活スタイルの方が増えてきているのです。
そこで満足度があって、かつ一口で食べられるような適量の商品を作れないかという視点から「ポテトと料理」が生まれました。メーカー独自の革新的な技術開発も日々続けていますが、それよりも、いまはお客様の生活の中にある不満や不便の解消を商品化に活かすほうが多くなってきています。
これも佐藤が常日頃から言っていることですが、「昨日の自分を見るな」「真似をするな」と。他社の真似はもちろんNGですが、自分が過去にやってきたことをなぞるなという意味でもあるんです。