世の中すべてが「ブランディング」

――ちなみに入社当時、ポテチ市場でカルビーをはじめ他社の存在をどう見ていましたか?

野間:私は広島出身なんですが、子どもの頃に売っていたスナック菓子と言えば、それこそ他社さんの商品一色でした。ただ、私個人はお菓子はチョコレートかクッキーばかり食べていた子どもで、油で揚げたポテチは食べると太ると思っていて、そもそも選択肢から外れていたんです(笑い)。

日本のポテトチップスのパイオニア「コイケヤポテトチップス のり塩」(写真提供/湖池屋)

日本のポテトチップスのパイオニア「コイケヤポテトチップス のり塩」(写真提供/湖池屋)

 湖池屋の商品やポテチの「のり塩」を初めて知ったのは大学生のときです。商品袋のデザインが、他社さんのものより古典的な感じに見えて、「もっとカッコよくすればいいのに」というのが第一印象でしたね(笑い)。

 ただ、実際に食べてみたら歯ごたえがあるという印象がすごく強くて、ポテチの食感がはっきりしているというか、じゃがいもの味がしっかりしている。その点にちょっとした衝撃を受けたのをよく覚えています。ポテチって美味しいものなんだと。

「世の中すべてがブランディング」と話す野間さん

「子どものころはポテチを食べなかった」と話す野間さん

――ご主人も湖池屋で同期入社の方だそうですね。

野間:夫は商品開発部にいます。私も夫も食べることへの興味が強く、同じ理系出身というのも共通点。ただ、キャラクター的には違いがあって、たとえば夫のほうが買い物の際の下調べを緻密にやるほうですが、最終的にAかBかの判断でAと決めるのは私なんです。

 私生活では、理系出身の割に細かいことがあまり得意ではないので、夫とは、お互いにマーケティングし合っているような感じもあるかもしれません(笑い)。また、私は多趣味でもありませんから、マーケティングが1つのライフワークにもなっていて、「次はどんなブランドの商品でお客様をくすぐることができるか」を考えることが日々本当に楽しいんです。

 見た目や第一印象の「知覚品質」と、食べたものがどう美味しく感じるかの「実際品質」の2つがあって、「実際品質」が「知覚品質」を超えていかないと魅力的な商品はできません。

 人も同様で、自分自身のブランディングはもちろんですが、世の中すべて、しっかりしたブランディング構築が大事だなと思っていて、それは私自身も商品も子育てにも通じることです。偽りのある、あるいは無理しているブランディングはすぐに見抜かれてしまいますから。

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