国内

東京五輪、中止や延期の世論は「なかったこと」に 朝日・読売も同調

五輪開催、中止・延期の議論は?(左から橋本聖子氏、丸川珠代・五輪相/時事通信フォト)

五輪開催、中止・延期の議論は?(左から橋本聖子氏、丸川珠代・五輪相/時事通信フォト)

 東京五輪は「観客上限1万人」で開催──それがさも当然であるかのように話が進んでいるが、多くの国民は「おい、中止するかどうかの議論はどうなったんだ」と憤っているのではないか。

 菅義偉・首相も、開催都市の小池百合子・東京都知事も、組織委員会の橋本聖子会長も、現在に至るまで「今夏開催を決断した」と正式に表明していない。国民の前で「開催か、中止・延期か」の議論がなされないまま、そして「開催する理由」も示されないままいつの間にか「開催の規模をどうするか」に話がすり替わった。

 国民の半数以上はいまも今夏の開催を望んでいるとはいえない。

 直近の世論調査をみると、朝日新聞(6月19~20日)では「再延期」(30%)と「中止」(32%)を合わせて6割以上が今夏開催に反対し、読売新聞(6月4~6日)でも、「中止」(48%)「無観客開催」(26%)「観客数を制限して開催」(24%)の順で中止と制限付き開催が拮抗(「延期」の選択肢なし)している。

 他社の調査でも、今夏の「有観客開催」を求める声は日経18%、毎日22%、産経・FNN33.1%、NHKも35%しかない。

 それなのにいつ、誰が、どんな理由で「開催」を決めたのか。

 国民の「五輪中止」感情が最も高まったのは6月2日。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂・会長が国会で「今の状況で(五輪を)やるというのは、普通はない」と発言したのがきっかけだ。

 尾身氏はその後も五輪開催の危険性を訴え、官邸は国民の中止論が勢いづくのを怖れた。

 菅首相のブレーンとして知られる竹中平蔵・パソナ会長は、「分科会がオリンピックのことを決めるわけじゃないのに、明らかに越権」とテレビで批判を展開。官邸側の危機感をこう忖度した。

「分科会がまた変なことを言う可能性があって。(分科会が)社会的に専門家だと思われてるから。それ(分科会)に対して反対する決断をするのが政治的に難しくなる可能性があります」

 官邸も“鎮圧”に乗り出す。

 尾身氏が緊急事態宣言の延長期限の6月21日までに分科会などの専門家有志で五輪に向けた提言文書を出すことを表明すると、「総理の指示で西村康稔・経済再生相と田村憲久・厚労相を中心に対策チームが組まれ、提言に『中止』の文言が入るとわかると、尾身氏らに発表を引き延ばすように働きかけて時間を稼いだ」(官邸スタッフ)。

関連記事

トピックス

ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
【長野立てこもり殺人事件判決】「絞首刑になるのは長く辛く苦しいので、そういう死に方は嫌だ」死刑を言い渡された犯人が逮捕前に語っていた極刑への思い
NEWSポストセブン
ラブホテルから出てくる小川晶・市長(左)とX氏
【前橋市・小川晶市長に問われる“市長の資質”】「高級外車のドアを既婚部下に開けさせ、後部座席に乗り込みラブホへ」証拠動画で浮かび上がった“釈明会見の矛盾”
週刊ポスト
米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
新聞・テレビにとってなぜ「高市政権ができない」ほうが有り難いのか(時事通信フォト)
《自民党総裁選の予測も大外れ》解散風を煽り「自民苦戦」を書き立てる新聞・テレビから透けて見える“高市政権では政権中枢に食い込めない”メディアの事情
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
NEWSポストセブン