スポーツ

猪木vsアリ戦から45年 決して「世紀の大凡戦」ではなかった

時を経るごとに、「世紀の一戦」は再評価(撮影/山内 猛)

時を経るごとに、「世紀の一戦」は再評価(撮影/山内 猛)

 ボクシングの世界ヘビー級現役王者が、日本のプロレスラーと真剣勝負──実現不可能と言われた一戦は、日本中を熱狂に包み込んだものの、膠着状態が延々と続いたことから、試合後には「茶番」とメディアに酷評された。しかし、時を経るごとに、「世紀の一戦」は再評価されている。

 ボクシングの世界ヘビー級王者、モハメド・アリとアントニオ猪木による「格闘技世界一決定戦」が開催されたのは1976年6月26日のことである。あの「世紀の一戦」から45年の月日が流れた。

 アリは2016年に他界(享年74)し、猪木も現在、闘病生活を公表している。試合そのものを知らない世代も増えたとはいえ、この試合の意味と伝説性は、いまも輝きを失っていない。

 プロレスとボクシングの異種格闘技戦として実現した猪木vsアリだが、当時の両者の「格差」は歴然としていた。

 猪木と新日本プロレスはアリとのワンマッチを実現させるため、アリ側に610万ドル(当時のレートで約18億円)という途方もない額のファイトマネーを支払う契約を締結している。それはボクシングの現役世界王者が、無名の東洋人レスラーの「相手をしてやる」という世界の共通認識を如実に示すものだった。

 もっとも「プロレスこそ世界最強」という猪木の格闘ロマンに魅了された国内のファンは、猪木の勝利を固く信じていた。

 同年2月、猪木はミュンヘン五輪(1972年)柔道無差別級王者のウィリエム・ルスカと対戦し、快勝している。「猪木ならアリに勝てる」──ファンの期待は膨らむ一方だった。

 NET(現・テレビ朝日)はこの一戦を試合当日に2度放送。初回(午後1時~)は瞬間最高視聴率54.6%を記録したが、肝心の試合内容は、観客を満足させるに程遠いものだった。

 猪木はマットに背をつけたまま3分15Rを戦い、アリがパンチを繰り出すシーンがほとんどないまま、試合は引き分けに終わる。

関連記事

トピックス

靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン