馴染みの問屋に弟子を紹介した優一氏

馴染みの問屋に弟子を紹介した優一氏

 すると西さんは、

「ゴシップを探しに来ている。。。そういう節もあると思います」

 と答えた。彼に、“嬉しい”答えを期待していたことにも後悔したし、この会話は忘れようと思った。そして、もう1杯、コーヒーを飲むことにした。

 実は、僕はこの数日前、西さんを浅草に誘った。浅草の言問橋の近辺は、靴観覧の問屋が多く並ぶ。その中で、僕が常にお世話になっている、革問屋と道具材料問屋に連れて行った。というのも、僕は材料も道具も、必ず自分で買ったものを使うべきだと考えている。僕がイタリアで修行している時も、そうだった。

 もちろん貸し出せるものはあるのだが、大抵の場合、人の道具には思い入れがないので、雑に扱う。そして、“思い入れがない”ものに触れる時間は、必然的に少なくなってしまう。材料も同じだ。自分でお金を出したものであれば失敗したくないし、無駄にしてしまうと、“もったいない”という感情が生まれる。それが、他人の材料を使っていると、あまり感じにくくなる。

 そんな理由で、西さんにも、最低限の自分の道具、材料を買って欲しかった。いつも取引をする問屋の方々を紹介してしまうと、いつか迷惑な取材に行ってしまうのではないか、という不安はあったものの、浅草にいる西さんは、初めての経験に戸惑いながらも、ワクワクしているようにも見えた。

週刊誌記者は自分を磨く「新たなヤスリ」

 革を買って、帰る時。革問屋の1人が、

「優ちゃんの、変な記事書かないでくださいね!」

 と西さんに声をかけた。仲間の温かさを感じていると、

「ああ、いえ。起きたことをそのまま書いているだけですので。ただ、芸能人と一般人の架け橋になっているだけです」

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