国内

小山田圭吾辞任でトラウマ蘇った30代男性の告白「いじめは校内犯罪である」

2018年ロンドンでの小山田圭吾(dpa/時事通信フォト)

2018年ロンドンでの小山田圭吾(dpa/時事通信フォト)

「いじめ」の英訳はbullying(子供が弱い者、小さい者をいじめる)になるそうだが、2020東京五輪開会式のスタッフを辞任した小山田圭吾の過去について報じた一部英語紙は、それを「abuse」(虐待)と報じた。俳人で著作家の日野百草氏が、「いじめは校内犯罪である」と訴えるかつての被害者の訴えを聞き、不道徳であることをかっこいいと評価するような価値観は本当に主流だったのか、1990年代を振り返った。(文中一部敬称略)

 * * *
「やったほうは忘れても、やられたほうは覚えてます。僕は忘れません。だから今回の小山田圭吾は許せなかったし、トラウマが蘇りました」

 出版社時代の後輩と再会、彼を仮に霊夢くん(30代・仮名)としようか。在職当時、人気ゲームからの派生作品群『東方Project』が好きだった彼(霊夢は同作品群のキャラクターの名前)。いまは別の仕事についているが、彼の中学時代は地獄だった。それを大人になっても忘れること無く、かつて飲みに行くたび筆者にも語ってくれていた。今回は緊急事態宣言下、貸会議室で味気ない自販機コーヒーをすすりながらの話となったが、内容的にはこのほうがいいかもしれない。

「見ての通り原因は皮膚の疾患です。詳しくは書かないでくださいね。障害と言ってもいい、少し目立つものです」

 特定されるため書かないが、この疾患はやっかいで悪化すると目立つ。霊夢くんは中学で発症、それからいじめという名の校内犯罪が始まった。

「万引きと一緒でいじめという名前がよくありません。あれは校内犯罪です。暴行傷害、恐喝、侮辱、名誉毀損、すべてを網羅した学校内の犯罪、校内犯罪です」

 霊夢くんは本気だ。いじめは犯罪だと覚悟の上で言い切る。かつて音楽誌で万引き自慢をしたシンガーソングライターもいたが、れっきとした窃盗でも昔はやんちゃで済まされてしまった。もちろん当時も窃盗罪。やんちゃで済まされないはずなのだが、コンプライアンスの低い昭和にはやんちゃで済まされてしまう土壌があった。いじめも同様、霊夢くんの言う通り、ひとりの人間の心も体もズタズタにする犯罪なのに。彼の要望で本稿はいじめという言葉を校内犯罪とする。さしずめ、いじめる側は校内犯罪者だ。

「僕が言いたいのはやられたほうは絶対に忘れないこと、そしていじめは校内犯罪である。これだけ伝えられたら十分です」

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン