キャスターは、勝者ばかりでなく敗者からも言葉を引き出さなくてはならない。それを難なくこなすのが櫻井と共にNHKの顔を務める相葉雅紀(38才)だ。
「体操の内村航平選手が鉄棒からまさかの落下をしたとき、相葉さんの目は“信じられない”と物語っていました。そして試合直後、内村選手への取材で、あえて結果に触れず雑談から入った。極限の状態で演技することの難しさと、ここ一番に臨んだ選手の気持ちに寄り添っていたのです。キャスターに必要な優しさを相葉さんは充分に持っています」(中村さん)
2人の頑張りは、現場のスタッフにも目撃されていた。
「相葉さんは現場取材をかなりこなしているし、櫻井さんは新聞を全紙チェックしていて、頭が下がります」(NHK関係者)
ひとり勝ちはあの元サッカー選手
今回の五輪では、元アスリートもキャスターに起用されている。競泳の北島康介(38才)のほか、マラソンの高橋尚子(49才)や柔道の野村忠宏(46才)、レスリングの吉田沙保里(38才)らも、各局の五輪番組を盛り上げる。そのなかで、最も注目を集めているのは、テレビ朝日でキャスターを務める元サッカー日本代表の内田篤人(33才)だ。
「試合後、選手たちが真っ先に内田さんのところへ駆け寄り、取材予定のなかった森保一監督も内田さんなら、と口を開きました。相馬勇紀選手への取材では『ぼく、彼にドラミちゃんってあだ名をつけたことがあって』と小ネタを繰り出すサービスも。さわやかなスーツ姿は早くも評判で、今後、出番が増えそうです」(前出・テレビ朝日関係者)
初めての五輪取材だが、メインキャスターとして挑んでいるのが関ジャニ∞の村上信五(39才)。開幕までも『村上信五のスポーツ奇跡の瞬間アワード』(フジテレビ系)などの番組で経験を積んできたが、そこで垣間見えたのは勉強熱心な横顔だった。
「選手にインタビューをするときには事前に資料を渡すのですが、もっとたくさんの資料をもらえないかとリクエストされることが何度もありました」(フジテレビ関係者)
今回、フジテレビは映像演出に活路を見出したようだ。セットに都内の景色が映し出され、バーチャル映像内で村上らが各競技場まで移動する。派手な演出に今井さんは首をかしげる。
「他局のようにベテラン人材を確保できなかったので、“みんなと違う方向で頑張るぞ!”といったところでしょうか。正直、何をやっても外すフジテレビ、という印象です。あの映像も何かの役に立つわけでもなく、ただ乗り物酔いするだけ」(今井さん)
一転、地味に伝えると覚悟を決めたのはTBS。キャスターは安住紳一郎アナ(47才)だけだ。
「派手な演出を遠ざけたのは安住アナの意向だったと聞きます。競技のことだけをシンプルに伝えたいという考えのようです」(TBS関係者)