鈴木:どこにドラマがあるか分からないから、時間と手間がかかる取材ですね。調査報道もズブズブになってはいけないけど、そうでなければ掴めない情報もある。
真鍋:鈴木さんの作品は、自分と取材対象者との関係性をすごく大事にしている印象があります。自分の人間性はもちろん、取材対象者の人間性もきっちり書いた上で、そこで起きた出来事を伝えてくれている。だから、ノンフィクションではあっても、私と同じように作品をつくっているというイメージがあります。
鈴木:そうですね。でも、これを書いたら関係が断絶すると覚悟する時もあります。密漁取材は、犯罪者側にはいっさい原稿を見せなかったのですが、やり過ぎだと思われたかも知れない。なのに文庫化にあたって「新章を追加したいので、追いかけ取材してくれ」って言われて青ざめました(笑)。