また『ナショナルジオグラフィック』2008年5月号の特集「黄河崩壊 汚染と水不足の現実」によれば、中国の水資源の量はアメリカ合衆国とほぼ同じだが、総人口の違いを考慮すれば、中国は同じ水資源量でアメリカの5倍近い人口を養わなければならないという。

 つまり、中国政府には黄河の氾濫を防ぐのはもちろん、水資源の確保と水質の改善が求められているわけである。堯・舜に代表される五帝に倣わなくては、達成の難しい大事業だが、それをしなければ中国全土で水不足が恒常化して、どれだけの混乱が生じるか見当もつかない。冷静に考えれば、一党独裁の堅持より大事なはずだが、それに気づいて有効な政策がとれないなら、退場を迫られるのもやむなしだろう。

 治水を制するものが中国を制する──。これは古くて新しい金言である。

【プロフィール】しまざき・すすむ/1963年、東京生まれ。歴史作家。立教大学文学部史学科卒。旅行代理店勤務、歴史雑誌の編集を経て現在は作家として活動している。『ざんねんな日本史』(小学館新書)、『いっきにわかる! 世界史のミカタ』(辰巳出版)など著書多数。

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