伍代夏子

和歌山県警察の特殊詐欺防止専用ダイヤルのPR動画を撮影。受話器を片手に丁寧に呼びかけた

 SOS47の活動では、さまざまな体験談を聞く機会があるという。

「毎日6時に電話がかかってくるから今日もきっとかかってくるよ、というかたがいました。“そんなのだめよ! 警察に電話しましょう!”と呆れてしまったけど、すっかりその電話を楽しみにしていらして。自分は絶対に引っかからない自信があるから“おまえ、そんなこと言って詐欺だろう”なんて言いながら、毎日話しちゃうんですって。

 このケースは男性でしたが、“お父さんよりも私の方がしっかりしているわ”という女性の方が案外弱い。特に60代など、私たちぐらいの世代が危ないなぁと感じています。まだまだ全然平気、しっかりしているから私の行動は間違っていないわと考えて、周囲に相談なしにお金を渡してしまうんです。かくいう私も大丈夫と思ってはいますが(笑い)、固定電話には出ません。還付金、暗証番号、カードなどの話が出たら、ひとりで決めずに必ず誰かに相談してください」

 被害に遭ってしまった際におかしがちなミスも教えてくれた。

「お金を騙し取られて落ち込む母親に、息子さんが『なんでぼくに言わなかったんだよ』と責めてしまったケースがあったんです。お母さんはショックで寝込み、しばらくうつになってしまった。騙された家族に怒ってしまう例は多いんです。被害の額によっては、“そんなにお金があったの?”と関係がぎくしゃくしてしまうことも……。

 被害に遭った家族は責めずに寄り添ってあげてほしい。わが子かわいさにお金を出してしまう母心も犯人は巧みに突いてきますから、普段から家族でマメに連絡を取り合いましょう。犯人の演技に惑わされないよう、電話の声に聞き慣れることも大事です」

 杉とは家庭でもSOS47の活動計画を話し合うという。特殊詐欺撲滅へ向けて、これからも粘り強く活動を続けていくと誓った。

【プロフィール】
伍代夏子(ごだい・なつこ)/1961年生まれ、東京都出身。演歌歌手。『歌謡劇 雪中相合傘―科白編―』が発売中。

取材・文/渡部美也 撮影/WEST

※女性セブン2021年9月9日号

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