杉村:自民党総裁選に勝利すれば、日本の総理大臣になります。首相になった瞬間、まず最初にやりたいことは何ですか?
岸田:まずはコロナを落ち着かせることですが、そこがうまくいったら真っ先にやりたいのは経済の変革、日本らしい資本主義の構築です。日本はまた元気にならなくてはいけません。
1990年代からの新自由主義で市場原理や競争が重視され、莫大な利益を上げる人がいる一方、貧しさに苦しむ方々も増えて格差が拡大しました。そうした格差はコロナでますます広がりました。だから経済成長はもちろん大切だけど、私はその成長の果実をしっかりと国民に分配して、所得があがるようにしたい。それによって家計が潤って消費が拡大し、経済がさらに成長する好循環が生まれて、政治や社会が安定します。そのためにも中間層が苦しんでいる住居費や教育費は国が手厚く支援し、社会保障も適切に分配する。
大企業と中小企業、都市と地方、強者と弱い立場に追いやられた人の格差を埋めるため、あらゆる方法で分配を進めないと日本の社会はバラバラになってしまいます。自助はもちろん大事ですが、人間は一人では生きていけないので、適度な分配を通じて国民の一体感を取り戻したい。それが私の掲げる「新しい資本主義」です。
杉村:なるほど。私はこれまでの自民党総裁と違い、岸田さんは世代交代の橋渡しができるリーダーだと思っています。最後に若い世代にメッセージをいただけますか。
岸田:コロナは非正規や中小零細企業、女性や若者を直撃しました。最も我慢を強いられているこうした方々への支援は今後の日本を考える大きなポイントなので、雇用や育児、教育などはしっかりとサポートしていきたいし、コロナで本当に困っている人に対しては直接給付金を与えるのもひとつの方法です。
それと自民党内にも優秀な人材がたくさんいます。すべて若い人とはいかないまでも、老壮青のバランスのなかで若い人には思い切って仕事をしてもらいたい。そうした改革を通じて、自民党が国民の声を聞く国民政党であることをアピールして、国民からの信頼を回復したいと思っています。若い皆さんが、活き活きとそれぞれの分野で活躍できる日本を作っていきます。
構成/池田道大 撮影/浅野剛