国産ウナギは高値を維持(時事通信フォト)

国産ウナギは高値を維持(時事通信フォト)

 絶滅危惧種指定に法的拘束力はない。が、ワシントン条約に記載されれば国際取引が禁じられる。危機感を持った業者は高値のシラスウナギを買い求め、絶滅危惧種指定後、その価格は1キロ300万円の大台を突破し、銀の価格と並んだ。平成29年にはついに427万円を超え、金の価格を超えた。シラスウナギの密流通に暴力団が関与するようになったのは、それだけのカネが動くからだ。

 不漁は平成30~31年の間も続いた。外国からの輸入を倍に増やして対応しても、ウナギの資源保護は急務で、国際会議でニホンウナギが話題となれば、厳しい漁獲制限は避けられないと予想されていた。危機感のあまり、国際会議場に乗り込んだ大手養鰻業者もいる。

 ところが、翌年からシラスウナギが豊漁となった。

「シラスウナギには公定価格の他、裏取引される闇相場が存在します。実際は裏の価格が市場価格です。一時、500万円近くまで高騰したが、今は50万円まで急落しました。それまで仕入れに苦しんでいた養鰻業者は、その後は格安で仕入れているのでかなりの利益が出ています。

 もちろんコストが下がった分、ウナギの出荷価格も下がったが、以前のような安値には到底なっていない。国産ウナギのブランド力のおかげで消費者価格が高値を維持できるためです。

 ある養鰻業者の社長はテレビ出演し、豪華な自宅や1億円超の腕時計、高級車を披露していた。インスタグラムにもセレブな生活ぶりをアップしている……だからといって、会社が黒字とは限らないのだが、養鰻業者が儲かったのは間違いない」(同・シラスウナギ業者)

 もちろん、彼らにシラスウナギを売るこの業者も儲かっている。彼の愛車はイタリア製のスーパー・カーだ。

 ウナギ業界があまりに儲かるので、養鰻業者が不動産を買い求め、マンション経営に乗り出しているという噂もあった。2018年に上梓した『サカナとヤクザ』でウナギ業界を取材したので旧知の業者にコンタクトをとってみたところ、軒並み取材拒否だった。静岡のある業者は電話で当方の名前を告げると怒りだした。

「あんたは好きなように書き散らかし、ウナギ業界の未来などまったく考えていない。やり逃げだ。興味本位で煽られるのは迷惑千万。二度と電話するな」

 ようやくインタビューに応じてくれた養鰻業者は匿名が条件で、地域も伏せるよう釘を刺された。

「確かに利益は出ています。大手で健全に経営している養鰻場は儲かっているでしょう。でも、我々は商売をしてるんです。儲けて非難されるいわれはない。あなたの質問には悪意を感じる」

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン