身分は明かさないのが「セレブ会」のルール
綾瀬の父は農家の出身で、母はいまも農作業に精を出す。両親は東京でひとり頑張る綾瀬を思いやり、旬の野菜や果物を娘のもとによく送っていた。父の死後、地元で穏やかに暮らす母のもとに舞い込んだのが、ある投資話だった。綾瀬家の知人が打ち明ける。
「はるかちゃん(実際は綾瀬の本名)のお母さんは事務所の代表を務めていますが、会社の経営に詳しいわけではありません。だからお金に関する相談は、綾瀬家が代々お世話になっている地元の税理士さん(以下、A氏)にお願いしていました。そのA氏がお母さんに『この低金利時代に、現金を銀行に置いておくのはもったいない。運用してみたらどうですか』とすすめたそうです。
お母さんはお金を増やす気はなかったけど、信頼している先生がそう言うならと、今年の頭くらいにはるかちゃんと設立した個人事務所のお金を、1億円近く投資したのです。芸能界は不安定なので、娘の将来のために何かしてあげたいという気持ちもあったと聞きます」
A氏の言う通り、銀行に預けるより運用した方がいいという意見はある。問題なのは、彼がすすめた“投資商品”だ。その中身はこうだ。実際に運用するのは、B氏を中心とする30代の3人組の投資グループ。B氏は自身の経歴と運用の仕方を、周囲にこう話している。
福岡県出身で、将来の夢は映画を撮ることと、サッカークラブを買収すること。一度は就職したが、夢を諦めきれずに、資金作りにつなげるべくスイスの大学院に留学した。そこで投資サークルをつくり、金融大手の現幹部と知り合いになる。その縁からファンドの銘柄の動向を一般の人より早く知ることができ、投資に有利な情報を得られる──。
昨年の4月頃からこの投資話が出回り、配当は月利2~4%。現在メガバンクの定期預金の金利が年0.002%なのを考えれば、いかに高金利かがわかる。A氏のような仲介者が複数人おり、投資する際は、B氏の個人口座に入金する。投資額は数百万円の人もいれば、億単位の人もいる。金利はなぜか人によってバラバラだという。
「はるかちゃんのお母さんは月3%の利回りがつく契約だったそうです。このご時世にそんな高金利は眉唾ですが、お母さんはA氏にすすめられるまま契約を結びました」(前出・綾瀬家の知人)
契約後の母を待っていたのは、きらびやかな世界だった。出資者は毎月1回、広島市内の高級ホテルのレストランに集って、豪華な食事に舌鼓を打った。
「この会は『セレブ会』と呼ばれ、ドレスアップした出資者がレストランのテーブルを囲み、主催者が運用状況を説明する会です。参加者は自分の身分を明かさず、連れてきていいのは配偶者と一親等だけというルールがあります。参加者同士は連絡先を交換してはいけないような雰囲気もありました。多くは、高齢者でした」(セレブ会の参加者)