国内

医療逼迫招いたのは日本医師会か 医師不足に触れず「病床増やそう」は欺瞞

日本医師会には医療関係者からも疑問の声が(写真/共同通信社)

日本医師会には医療関係者からも疑問の声が(写真/共同通信社)

 政府が打ち出す行動制限の緩和に待ったをかけたのは日本医師会だった。「どうしても緩むのではないかと心配している」「希望する人へのワクチン接種が済んでいること、地域の感染が沈静化していることが前提だ」。9月8日の会見でそう懸念を示したのは中川俊男会長だ。だが、危機感を発信する日本医師会について、医療関係者からは疑問の声が止まない。

 国内で初めての緊急事態宣言が出てから1年半。これまで日本医師会は医療崩壊への危機感や政府のコロナ対応の遅れ、そして国民の行動についてモノ申してきた。

 日本の医師資格を持つ医師を加入要件とする日本医師会は、全医師の半数以上となる約17万人を擁する業界団体だ。複数の病院に勤務する病理専門医の榎木英介医師が語る。

「私のような勤務医も入っていますが、組織の主体は開業医で、基本的には開業医のための団体という色合いが強い。開業医には営利目的もあるため、カネのかかること、儲からないことはやらない傾向がある。

 結果、日本医師会の開業医が運営する病院は、コロナ患者対応には不十分な施設ばかりだったことが浮き彫りになった。だから会見で行動制限や医療逼迫を訴えても、『どんどんコロナ患者を受け入れる』とは言えない。危機感はあるが、対応策はない。開業医中心の日本医師会の体質も、医療崩壊を招いた要因だと思います」

医師の数を減らしてきた

 未曾有の感染症を前に、日本医師会は本来であれば国の対応の手助けとなる存在であるはずだったが、そうではないようだ。

「そもそも、今の医療逼迫は厚労省と日本医師会が旗を振ってきた医師数の抑制によるものです」

 そう語るのは、NPO法人医療制度研究会副理事長で外科医の本田宏医師だ。

「開業医中心の医師会にとっては、医師の数が少ないほうが競争が激化せず、診療所や病院の経営にプラスになる。そうして日本の医師数はOECD(経済協力開発機構)加盟国の平均値と比べても13万人足りない。1人の医者が診ている患者の数も平均値より3.5倍でした。そのため日本ではベッド数が多くても医師が少ないためにコロナ患者の受け入れが滞ってしまうのです」

 さらに、感染症専門医の不足も問題だと言う。

「日本感染症学会は2008年に日本の300床規模以上の医療機関(約1500施設)には感染症専門医が常勤すべきで、3000~4000人が適正との見解をまとめました。ところが、今年8月時点で感染症専門医は1622人に留まっている。こうした状態を放置してきた医師会が会見で医師不足については口にせず、できもしないのにコロナ病床を増やそうと言う。これは欺瞞です」(本田医師)

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン