定年そのものを廃止してはどうか?

 様々な論点が考えられるが、中でも「定年制」「エンプロイアビリティ」「外部労働市場」の3つをピックアップして考え方のポイントを提示したい。

 まず定年については、45歳まで引き下げることが現実的ではないことを踏まえると、逆に定年そのものを廃止してはどうかと考える。会社には、年齢を理由とした雇用契約解消を認めない。一方で、解雇に関するルールを整備し、金銭や教育訓練機会の提供など一定水準以上の補償を行うことを条件に、必要な技術や能力を有さない社員を解雇できるようにする。

 エンプロイアビリティについては、他社でも通用する技能を身に着けられるよう、会社に社員の能力開発義務を課す。副業や兼業を積極的に推奨し、社員が外部接点を持つ機会を増やすことで、より好条件の会社へ転職しやすくなるような土壌を作る。

 それを日本中の企業が行えば、せっかく教育した人材が自社から流出するリスクはある一方、他社から教育された人材を迎え入れられるチャンスも増えることになる。会社は、45歳までの卒業を目指して社員を教育する。一方で、そのまま45歳以降も社内に残る選択肢も設ける。

 外部労働市場については、会社が社員のエンプロイアビリティ向上に取り組む中で副業や兼業などを推奨し、外部接点を持つ機会を増やしていけば自ずと活性化されていくことが期待される。

 さらに、国が45歳以上の働き手を対象に転職を促進する助成金を設けたり、失業時の手当てや教育訓練機会の充実を図ることができれば、会社が45歳以上の社員採用を増やすインセンティブとなる。

 国家戦略会議で40歳定年制が提案されてから9年経つが、今のところ残念ながら議論が前に進んでいる気配は感じない。現在の雇用システムを今後も維持できるのか。あるいは経済界が言うように維持は難しいのか。その検証も含めて、議論を前に進めていく必要がある。

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン