日本では、欧米に比べて感染者や死者が少ないこともあって、ワクチン接種はあくまで「お願いベース」で進められてきた。パスポートによる差別があれば、他の国より激しい反発が起きることも予想される。だからなのか、パスポートを担当する内閣官房の担当者に取材すると、なんと日本では「パスポートは発行しない」という答えが返ってきた。
「報道などでは『ワクチンパスポート』という名称が広がっていますが、政府としてはこの言葉は使用していません。ワクチンを打たない人への配慮の面からも、『ワクチン接種証明書』という言い方をしていただきたいと思います。パスポートと言うと、それを持っていればいろいろなところに行く許可が出るという特権的なイメージを誘導しかねません。フランスやアメリカでは、接種証明書がないと飲食店に入れないといった方向に進んでいますが、日本政府はそれは適切ではないと考えています」
どうやら日本では、パスポートに期待する人にとっても反対する人にとっても、あまり大きなインパクトはないものになりそうだ。