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第一人者が考える「私の引き際」 小椋佳さんと手嶋龍一さんの場合

シンガーソングライターの小椋佳さん(写真/共同通信社)

シンガーソングライターの小椋佳さん(写真/共同通信社)

「みなさん、さようなら。ご機嫌よう。ご挨拶して罷り去ります。」──新著『九十八才。戦いやまず日は暮れず』で、ヘトヘトになる“戦いの日々”に終止符を打ち、断筆宣言をした女流作家・佐藤愛子さん。

〈元気が出ない、一日中、誰とも会いたくなく、じーっと坐っていて、ご飯も食べたくない、お茶を飲むのも面倒くさい〉。そう言いつつも、原稿用紙に向かい続けてきた佐藤さんの姿に共感したと話すのは、シンガーソングライターの小椋佳さん(77)だ。

「長く生きていると、欲というのが消えていくんですね。私はいま食欲さえない。でも、まだ生きている。佐藤さんと同じで、いまもたまに頼まれて歌創りを続けています。歌うのも辛くなっちゃって『コンサートなんかやりたくない』っていつも仲間に言ってるんだけど……でもやってます。なんだかね。

 苦しいけど、歌を創り終えた時やコンサートをやり終えた時の達成感があるんです」

 小椋さんは57歳の時に胃がんを患い、胃の4分の3を切除。68歳で劇症肝炎になった時は、医師に「普通ならもう死んでいます」と告げられた。それでも1日40本のタバコと大好きなコカ・コーラはやめられず、いまは「いつ死んでもいい」という境地なのだとか。

「だから70歳、古希になった時にケリをつけようと、NHKホールを借りて4日間『生前葬コンサート』をやったんです。そのコンサートの翌日くらいに死んでいれば、僕の人生はきれいに完結したんですよ。ところが生き延びちゃってるから、さあどうしたものか。

 喜寿を迎えて、今度こそ“もういいかな”と。来月から1年間かけて、全国30数か所を巡るコンサート・ツアー『余生、もういいかい』をやって、これをファイナルにしようと思っています。くたびれたし、歌うことがしんどいんですよ。でも、さらに生き延びちゃったらどうしよう……。

 だから去年からピアノを習い始めました。若い頃、ニューヨークで夜の街に飲みに行くと、小さな酒場にピアノが置いてあって、名も知れぬ客たちがピアノを弾いている。それを見て以来、いつか僕もピアノの弾き語りをやってみたいとずっと思っていた。ささやかな未来の希望、生き延びちゃった時のための仕込みです(笑)」

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