ライフ

薬をやめられる人・やめられない人の差は? 断薬・減薬の達人が語る秘訣

減薬診療で有名な大和田潔医師

減薬診療に詳しい大和田潔医師

 生活習慣病の薬は飲み始めたら「一生の付き合い」と言われる。しかし、正しい“伴走者”の協力が得られれば、薬との付き合いはやめられるという。減薬診療で有名な大和田潔医師と、教壇に立ちながら全国の医師と連係して減薬に取り組む管理栄養士の早川麻理子・名古屋経済大准教授という断薬と減薬のプロが対談した。

 * * *
早川:栄養指導をしていると、患者さんは「食事や生活を変えたくないから薬が欲しい」という人と、「薬は飲みたくないから、できるだけのことはやりたい」という人の2種類に分かれますが、前者は少なくない。

大和田:高血圧、糖尿病、高脂血症など生活習慣病は食生活の乱れと運動不足が主な原因ですが、そちらに目を向けず、「薬は魔法だ」と、医師も患者さんも薬を飲むことが治療になっています。

早川:運動はとくに軽視されがちですね。

大和田:糖尿病は、筋肉を増やすことで、インスリンへの応答を高め、血糖値を下げるので減薬しやすい病気の一つですが。

早川:しかし、コロナ禍で高齢者が外出しなくなっています。足の筋肉は1~2か月動かないでいると平気で1kg落ちます。

大和田:フレイル(加齢による虚弱)になる人が多いと聞いていますね。

早川:運動量と薬の量は逆相関にあって、いまの環境は薬への依存を増やしかねません。

大和田:それでも多くの医師は「食生活の見直しと運動をしなさい」と言うだけです。5分の指導でも30分の指導でも診療報酬は変わらないので。

早川:患者さんが不十分な知識でエネルギー制限や糖質制限をされて、悪化する話もよく聞きます。

大和田:いくら専門医とはいえ、薬を出すだけの医師よりも、しっかりした食事指導ができる管理栄養士と連携した指導のほうが減薬には確実です。

早川:大学の健康チェックに来た70歳男性はヘモグロビン(Hb)A1cが11%、血糖値は500mg/dlと振り切っていました。しかし、「自覚症状はないし、これ以上、医者にかかりたくない」とご本人の強い希望で、かかりつけの整形外科医が定期検査、私が栄養指導をすることになったんです。

大和田:専門医ならまずインスリン注射を始めたくなる数値ですね。

早川:畑仕事をしていたのでBMIは22と正常でしたが、三食に加えて、1日2回のおやつとジュースも飲んでいました。それでおやつをやめて、飲み物もお茶か水に変えました。それから、畑に行くのは必ず食後にしてもらいました。食後の運動は血糖値を下げるのに効果的です。

大和田:その後も糖尿病薬は使わなかった?

早川:はい。数か月でHbA1cが6%台まで下がり、今も元気に畑仕事をされています。

大和田:糖尿病の薬は対症療法であって根治するわけではない。食生活の改善や運動の方が大事なのに、処方された薬を飲んで数字がよくなると治った気がしてしまう。

関連記事

トピックス

遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《スクープ》“連立のキーマン”維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官が「秘書給与ピンハネ」で税金800万円還流疑惑、元秘書が証言
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン
大分県選出衆院議員・岩屋毅前外相(68)
《土葬墓地建設問題》「外国人の排斥運動ではない」前外相・岩屋毅氏が明かす”政府への要望書”が出された背景、地元では「共生していかねば」vs.「土葬はとにかく嫌」で論争
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
《悠仁さまの周辺に緊張感》筑波大学の研究施設で「砲弾らしきもの」を発見 不審物が見つかった場所は所属サークルの活動エリアの目と鼻の先、問われる大学の警備体制 
女性セブン
清水運転員(21)
「女性特有のギクシャクがない」「肌が綺麗になった」“男社会”に飛び込んだ21歳女性ドライバーが語る大型トラックが「最高の職場」な理由
NEWSポストセブン
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン