全国の医師と連係して減薬に取り組む管理栄養士の早川麻理子・名古屋経済大准教授

全国の医師と連係して減薬に取り組む管理栄養士の早川麻理子・名古屋経済大准教授

名医はおせっかい

大和田:断薬の成功には「患者さんを治したい」という誠意と熱意のある医師の存在が不可欠です。

早川:大和田先生みたいに、患者さんの生活にまで踏み込んでいくおせっかいな人でないと(笑)。

大和田:転院してきた30代の患者さんは月に20回の鎮痛剤に加え、片頭痛の治療薬、頭痛予防薬や抗うつ剤まで処方されていました。ヒアリングしたところ、片道1時間半の通勤や慢性的な残業による睡眠不足が原因のようでしたので、一緒に会社近くの寮に転居する方法を考えました。

早川:さきほどの糖尿病の例もそうですが、患者さんは問題のある生活習慣を送っていても「間違ったことをしていない」と考えがちでなかなか話してくれません。おせっかいなくらいに聞かないと、糸口が見つからない。

大和田:そこまでするには医師一人の力では難しい。管理栄養士や薬剤師の多角的な対話、信頼が不可欠だと考えます。

早川:糖尿病の専門医も糖質制限で効果が出ることは知っています。しかし、低糖質状態を続けて低栄養状態になると、あまり食べなくても血糖値が上がることがある。内分泌が専門の医師だと血糖値ばかりに目がいきがちで「こっそり何か食べたのか」と疑ってしまう。

大和田:ただ、臨床ができる管理栄養士はとても少ないのが問題。

早川:管理栄養士の資格を取っても医療現場に就職する人は1割ほど。臨床経験がある人はさらに少ない。

大和田:管理栄養士や薬剤師が常駐しているクリニックって、保険診療内でやろうとすると経営が厳しい。だから、それが病院探しの指標になります。

早川:ホームページを検索する際には「薬より食事と運動」とセルフメディケーションを謳う治療方針があるか確認するといいでしょう。医師と管理栄養士の治療方針が違うと、管理栄養士はなかなか口が出せません。また、「薬は魔法」みたいなことを言う医師は避けるべき。

大和田:副作用がない薬はありません。最小限の服薬にするために複数の代案を出してくれる医師を見つけてほしい。

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