ライフ

緑内障、大動脈瘤などの手術に伴うリスク、慎重な判断が必要な理由

病気によっては手術が正しい選択にならないケースも(イメージ)

病気によっては手術が正しい選択にならないケースも(イメージ)

 病気治療のために医師から「手術」を勧められることもあるだろう。しかし、病気によっては必ずしも手術が正しい選択となるわけではないこともある。たとえば、緑内障の場合……。

「いまだに緑内障をレーザーで手術するのは日本くらいです」と語るのは、深作眼科院長の深作秀春医師。眼圧上昇などで視神経に障害が起きて視野が欠けていく緑内障は自覚症状が少なく、日本人の失明原因の第1位だ。

「しかも緑内障治療は、医師によって手術技術の差が大きい。たとえば日本では眼圧が急激に上がる閉塞隅角(へいそくぐうかく)緑内障などに対して、アルゴンレーザーで虹彩(黒目の内側、瞳孔の周りの部分)に穴を開けて眼圧を下げる『虹彩切開術』が主流ですが、レーザーで開けた虹彩が炎症を起こし、角膜細胞が障害されて移植が必要になることもあります。

 欧米では否定的な手術ですが、日本では短時間で終了して保険点数が高いので、今も幅広く行なわれています」(深作医師)

 水晶体が白濁することで視力が下がる白内障は、70代の8割が罹患するとされる。水晶体を人工レンズに入れ替える手術は安全性が高いとされるが、手術技術の差が結果に出やすい。

「大学病院や総合病院などの研修病院で手術経験の少ない医師だと執刀時に白内障が残って視力が出ない、水晶体が破れて核や破片を目の中に落下させ、炎症を起こして『網膜剥離』になるなど重篤な合併症を起こすことがあります。基本の手術こそ視力結果に技術差が出るのです」(深作医師)

 人体の要である心臓の不調も、慎重な判断を要する。心臓血管研究所付属病院の飯田充医師が語る。

「高齢になるほど心臓の開胸手術後に体にかかる負担が大きく、寝たきりや家から出られなくなるリスクが増します。特に80歳を超えたひとり暮らしの高齢者のなかには術後に施設暮らしを選ぶ人もいます。狭心症や不整脈、心房細動の症状が出ても、胸を切開する冠動脈バイパス手術をすぐに行なうべきか、ステントで血管を広げるかを他科の専門家と連携して考えてくれる病院が安心です」

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン