国際情報

朝鮮戦争を描いた中国映画が大ヒット 興収を元軍人に寄付する運動に賛否

映画がヒットはしているものの…

映画がヒットはしているものの…

 中国の国慶節(建国記念日=10月1日)のゴールデンウイークを見込んで封切られた大作映画「長津湖」が公開10日で40億元(約680億円)もの興行収入を上げ、今年最大のヒット作となることが確実になった。だが、この映画が朝鮮戦争(1950年6月25日~1953年7月27日)をテーマにしていることから、製作費を差し引いたすべての興行収入を朝鮮戦争で生き残った元軍人や映画でボランティアとして出演した退役軍人に寄付することを呼びかける活動が始まった。

 これに対して、ネット上では「朝鮮戦争に参加した軍人や、映画出演のボランティアの退役軍人に敬意を払うのは当然だが、映画はあくまでもビジネスであり、興行収入は俳優や監督などのスタッフに支払われてしかるべきだ。あまりにも愛国主義を丸出しにするのは、いかがなものか」との反発の声が出ている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

 この映画は朝鮮戦争勃発からほぼ5カ月後の1950年11月27日から12月11日にかけて、現在の中朝国境地帯の北朝鮮咸鏡南道長津郡長津湖周辺で行われた戦闘を題材にしたもので、国連軍と中国人民志願軍が初めて相まみえた戦いを描いている。

 この戦いは、北朝鮮軍が中朝国境まで追い詰められ敗戦間際という瀬戸際で、中国の志願軍が現れ、驚異的な粘りで劣勢を跳ね返した朝鮮戦争のなかでもターニングポイントとなるもので、中国当局は同作を「愛国映画」として推奨。主演にはいま最も人気がある「戦狼」や「戦狼2」でブレークした呉京を配し、大ヒットとなっている。

 このようななか、中国版短文投稿SNS「微博(ウェイボー)」上で、「長津湖の戦闘では70年以上も前に、厳寒のなか、粗末な戦闘服や装備で雪の中、戦った人々を追悼するため、制作費を差し引いた興行収入のすべてを義勇兵に寄付するようお願いしたい」などとして、ボランティアの退役軍人や生き残っている軍人に寄付するよう求める運動が展開されている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン