芸能

徳光和夫が振り返る日テレ入社時 「僕以外はエリート集団だった」

日本テレビ入社が決まった後、大学の卒業試験で…

日本テレビ入社が決まった後、大学の卒業試験で…

 あるときは涙もろい好々爺、あるときは無類のギャンブル狂。果たしてその正体は──。初の自伝『徳光流生き当たりばったり』(文藝春秋刊)を上梓した「徳さん」こと徳光和夫(80才)に、プロインタビュアーの吉田豪氏が迫った。週刊ポスト2021年10月29日号掲載記事の超ロングバージョンをお届けします。(全4回の第1回)

徳光:(いきなり紙袋を手渡して)吉田さん、これどうぞ。近所で買ってきたケーキです。あと、(本を出して)これ読みました!

吉田:『猫舌SHOWROOM 豪の部屋』(白夜書房刊)って、いちばん徳光さんとは無縁の本ですよ!

徳光:あらためて吉田さんはすごいと思って。僕が吉田さんを知ったのは長男なんですよ。サントリーに勤めている長男が、抜群に面白い対談本があるって言ってて、読ませてもらって。僕たちアナウンサーはインタビュアーとしてある意味でプロの世界なんだけども、こういう聞き方、こういう掘り下げ方、こういう引っ張り出し方はできないなと思って。

吉田:ありがとうございます。ただ、水道橋博士が吉田豪の取材を受けてくださいと何度言っても、「彼は知りすぎた男だからダメ」と徳光さんが言ってたと聞いてます(笑)。

徳光:そんなことを言ったことないと思うんだけど(苦笑)。ただ、僕は取材を受けるような対象の人物じゃありませんし、今回の本(『徳光流生き当たりばったり』)も活字っていうのは僭越だと思ったしね。だいたい生放送で生きてきた人間で、口先職人ですから。しゃべったことはその場でとにかく廃棄処分するみたいなかたちで今日まで来たのでね。そういうようなこともあって、対談を受けても内容がないというふうに、自分の中で思ってたんでしょうね、正直。

 だいたい吉田さんのインタビューを拝読していると、ちょっとこっちに逃げようかなと思ったらすぐそっちに壁ができたりするし、面白いんだけど、そういう見事な攻め方をされますからね。逃げ場を失うと自分のボロが出ちゃうなっていうふうに思ったのかもしれませんね。

吉田:今回こういう本が出たりとか、こういう取材を受けてくれたりするのは、何か心境の変化があったのかなとか思ったんですよ。

徳光:まあ80歳だしね。僕も、残すところそれほど人生長くもないわけだし…… やっぱり本を売りたいからね。吉田さんは仮面をかぶっている常識人と、それから、もしかすると一回ぐらいは薬物を使ったんじゃないかなと思うような人たちに至るまで、ホントに同じようなスタンスで、同じ距離感でものを聞くじゃないですか。あれはよくできるね。

吉田:ダハハハハ! そういうことは徳光さんも相当やってきてるんじゃないですか?

徳光:やってないね。僕は決定的に吉田さんと違うのは、アナウンサーって下心じゃないんですけど、やっぱり嫌われたくないっていうところがあるわけですよ。テレビで仕事をしておりますと、無意識のうちに好感度を意識するんだろうね。終わったあとでもう一度来たいなと思うようなインタビューで帰す。ホントに核心は突けないんだよ。だからキャスターにはなれなかったんです、報道番組をやってましたけど。キャスターっていうのは、招いたゲストに対して、その人を裸にするぐらいの気持ちでやらなきゃいけなくて。

吉田:相手に嫌がられるぐらいのことを腹を括って聞かなきゃいけない仕事ですよね。

徳光:うん。それにはそれだけの勉強もしてなきゃならないし。僕はアナウンサーだから、報道番組でニュースを担当させていただいたときも、たとえば司法の現場に行ったりとか、政治の現場に行ったりとか、外交の現場に行ったりっていうことはほとんどしないわけですよね。記者が取材してきたものを、せいぜい自分の言葉に直して伝えるぐらいだったんです。

 ゲストが来たときも、今度はアナウンサーとしての性分が出ちゃって、もう一度、この番組に出てみたい、そういった気持ちになるような聞き方をいたしますので。吉田さんがすごいところは、吉田さんのインタビューを受けた人はまた受けたいと思ってるんだよね、この本を見ているとね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン