「カミさんっていう酸素を吸わなければ、俺も生きていけないし」
徳光:サラリーマン時代の小市民ですから、そういうのは早く返すようにいたしまして。
吉田:当時は結婚式の司会とかのバイトのお金を全部注ぎ込んでギャンブルをやって。
徳光:かつてはね。いまはそういうことはできないじゃないですか。いまだったら安住(紳一郎)君とか桝(太一)君とか、局アナで家が建ちますよね、オファーだらけでね。
吉田:当時はそのへんは意外と自由で。
徳光:ザルでしたね。日本テレビの営業が頼んできましたから。営業の人間が「何々会社の何々さんの息子が結婚するんだけど、お願いできないだろうか」とか、「いまこういう大手のパチンコ屋があるんだけど、どうしてもこの仕事をと取りたいから」みたいなことで、だから私も営業活動の一部を担っていることになるわけですよね。
吉田:それにしても局アナがパチンコ営業をやってるっていうのは画期的すぎますよ!
徳光:そういう時代があったんですよ。だから、わが家も「口先御殿」って呼んでるんですけどサラリーマン時代に建てた家ですから。
吉田:これだけギャンブルで散財しながらも、ちゃんと残せるものは残していた、と。
徳光:それはカミさんが偉かったね。吉田さんは見抜いてると思うんだけど、大きなことを言ったって小市民もいいところで、まあ小心者なんですよ。アルバイトでさんざん稼ぎながらもそれを全部遣っているかといったら、そんなことはしてないわけですね。ですから、ホントにカミさんに感謝しているし、昔はホントに絶対に俺より先に逝っちゃいけないみたいな亭主関白みたいなことを、あの歌の文句のようなことを言っていましたけどもね、いまこういう言い方をするとホントにいい人になっちゃうんですけども、置いては逝けないなっていう気持ちですね。
吉田:今回の本にもそんな奥さんに対する気持ちが、たっぷりと書かれてましたね。
徳光:あとから書き足したんだよね。56年も一緒に連れ添ってまいりますと、もう体の一部だね、よく言われるように。空気みたいなもんで。空気っていうか酸素だね。カミさんっていう酸素を吸わなければ、俺も生きていけないし。向こうはそうでもないかもしれないけども。でもいまだに緊張するわけですから、家へ帰ったら俺は一番緊張してますからね。仕事場ではホントに気を抜いてるというか、リラックスしてるっていう感じで。
吉田:長嶋さんに次ぐ緊張なんですかね。あと、この本はとにかくギャンブルの話が最高すぎましたね。しかも、それがいまさらにエスカレートしてるのがたまらないですよ。
徳光:いやいやいや(笑)。こういうことはヘタしたら言っちゃまずいのかなと思って。
吉田:そんなマズい話があるんですか?
徳光: あと解約する生命保険が……2つしかなくなっちゃったんですよ。
吉田:オンライン競馬に目覚めた結果、定期貯金を使い切り、とうとう生命保険に手を付け始めたって話はすでにしてましたよね。
徳光:定期はなくなりましたね。ホントにお金はちゃんと現金でと思ってたのに、このスマホ時代になって、デジタル時代になって。電子マネーの時代はホントに足を踏み入れたくなかったですね。
吉田:スマホすら持たない、携帯すら持たない人が一気に未知の世界に飛び込んだから。
徳光:今日だってこうやって吉田さんと話してても、今日は6競馬場で競馬をやってるんですよ、地方競馬を。大井、浦和、高知と盛岡と、それから北海道はばんえいっていうのがあって、門別ってもう一つある。そういうことが気になってしょうがないわけですよ。
吉田:いまも気が気じゃない(笑)。
徳光:一応もうPAT(JRAの馬券投票サービス)で買ってあるんですけど、結果がどうだろうかって。俺、ホントにギャンブルを自制できなくなってきてるんですよ。オリンピック観ててもそうだからね。