年収1000万超の世帯で全体消費が大幅減少のワケ

 エンゲル係数がフラット化した理由を考えるために、年収区分ごとに食費と消費支出全体をみてみた。

 食費については、年収500~600万円の層で対前年5~6%、ひと月あたり4000円の増加となっていた。こうした中所得層では、教養娯楽関係費を7000~8000円減らすなど、他の消費を減らした分、食費にお金をつぎこんだ形となっている。

 ただし、お金をつぎ込んだのは、自宅での食事(内食)や、弁当・総菜のテイクアウト(中食)だ。飲食店での外食にかけたお金だけでみると、幅広い所得層で対前年2割以上の大幅な減少となっていた(別掲図3参照)。つまり、外食を減らした分以上に、内食や中食にお金をかけたということになる。

【図3】世帯年収ごとの外食の減少

【図3】世帯年収ごとの外食の減少

 一方、消費支出全体では、年収1000万円以上の層で対前年マイナス6~10%、ひと月あたりマイナス3.4~4.3万円と大きな減少となっていた。これらの高所得層は、外食の費用をマイナス5000~9000円と減らしたにもかかわらず、食費にかけるお金は1000~6000円増やした。外食分が質の高い内食や中食に回った格好だ。

 また、食費の増加を上回って、被服・履物でマイナス3000~4000円、自動車等関係費で0~マイナス1.1万円、教養娯楽関係費でマイナス9000円~2.1万円など、各費用でマイナスとなったため、消費支出全体の大幅な減少につながった。つまり、コロナ禍の間、使いみちのなかったお金が貯まっただろうことがうかがえる。

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