ライフ

ED治療の最先端、1回5万5000円「幹細胞注射」の効果 87歳の回復例も

「幹細胞注射」の効果とは

「幹細胞注射」の効果とは(写真はイメージ)

 日本臨床内科医会の調査(2016年)によれば、40歳以上の男性の3分の1、実に1130万人の男性がED(勃起不全)に悩まされている。年齢と共に“活力”を失っていくことは避けられない──そう諦めている人も多い。だが、ED治療は日進月歩で進化している。いま受けられる夢の治療を紹介する新シリーズ。第1回は最先端の「幹細胞注射治療」をレポートする。

世界中の医者が注目

 ベッドに横たわり、ズボンとパンツを脱ぐ『週刊ポスト』の54歳記者。久しく漲ることを忘れた下半身を見て、情けなくなるのも束の間。男性医師がアルコールシートで優しく消毒すると、慣れた手つきで“根元”をゴムバンドで縛った。

「すぐに済みますので」

 そう言うと、医師が陰茎の裏から注射を2回打つ。目視できないほどの極細の針で、痛みがほとんどない。20分後にはそのまま帰宅し、翌朝起きると、忘れかけていた「あの感覚」が股間に蘇っていた──。

 生涯現役を目指す男たちの天敵であるED。経口薬や衝撃波療法など様々な治療法が研究されるなか、最先端として医学界で注目を集めているのが、注射一本でEDを根治させると言われる「幹細胞治療」だ。

「従来のED治療とは一線を画す施術として、世界中の医師が期待を寄せています」

 医療経済ジャーナリストの室井一辰氏がそう語るこの幹細胞治療とは、どんなものなのか。

 人体の骨、血液、筋肉などあらゆる組織や臓器は、細胞からできている。幹細胞はこれらの細胞の元となるもので、すべての種類の細胞に分化する能力を持つ。京都大学の山中伸弥教授が開発して2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞したiPS細胞も幹細胞の一種だ。

 幹細胞の働きを利用して、ケガや病気で損傷した臓器などの回復をめざす「再生医療」が注目されているが、こうした技術をEDの改善に応用したのが幹細胞治療だ。

「2000年代に始まった幹細胞の研究は山中教授のノーベル賞受賞で一気に盛り上がり、2015年頃からED治療への応用が各国で試みられてきた。米国では骨髄などから採取した幹細胞をペニスに注射することで、老化によって衰えたペニスの細胞を復活させる研究が進み、臨床実験でも陰茎硬化症等の病気の改善を含め、良好な結果が発表されています」(室井氏)

 ED治療を行なう東京予防医療クリニック総院長の森吉臣医師は、「幹細胞治療には2つの方法がある」と解説する。

「ひとつは自分の骨髄や脂肪などから採取した幹細胞を培養して、体内に移植する方法です。もうひとつは、幹細胞を育てる過程で分泌されたエキスを含む『培養上清液』を注射し、細胞の機能を修復・再生する方法。こちらは幹細胞そのものを移植するのではなく、他人から採取した幹細胞を用いることができる」

 この治療法の特筆すべき点は、勃起力を細胞レベルで回復させるだけでなく、ED治療薬にある「副作用」の心配がほとんどないことにある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

オフシーズンを迎えた大谷翔平(時事通信フォト)
《大谷翔平がチョビ髭で肩を組んで…》撮影されたのはキッズ向け施設もある「ショッピングモール」 因縁の“リゾート別荘”があるハワイ島になぜ滞在
NEWSポストセブン
愛子さまへのオンライン署名が大きな盛り上がりを見せている背景とは(時事通信フォト)
「愛子さまを天皇に!」4万9000人がオンライン署名、急激に支持が高まっている背景 ラオス訪問での振る舞いに人気沸騰、秋篠宮家への“複雑な国民感情”も関係か
週刊ポスト
群馬県前橋市の小川晶前市長(共同通信社)
「再選させるぞ!させるぞ!させるぞ!させるぞ!」前橋市“ラブホ通い詰め”小川前市長が支援者集会に参加して涙の演説、参加者は「市長はバッチバチにやる気満々でしたよ」
NEWSポストセブン
ネットテレビ局「ABEMA」のアナウンサー・瀧山あかね(Instagramより)
〈よく見るとなにか見える…〉〈最高の丸み〉ABEMAアナ・瀧山あかねの”ぴったりニット”に絶賛の声 本人が明かす美ボディ秘訣は「2025年トレンド料理」
NEWSポストセブン
千葉大学看護学部創立50周年の式典に出席された愛子さま(2025年12月14日、撮影/JMPA)
《雅子さまの定番カラーをチョイス》愛子さま、“主役”に寄り添うネイビーとホワイトのバイカラーコーデで式典に出席 ブレードの装飾で立体感も
NEWSポストセブン
12月9日に62歳のお誕生日を迎えられた雅子さま(時事通信フォト)
《メタリックに輝く雅子さま》62歳のお誕生日で見せたペールブルーの「圧巻の装い」、シルバーの輝きが示した“調和”への希い
NEWSポストセブン
日本にも「ディープステート」が存在すると指摘する佐藤優氏
佐藤優氏が明かす日本における「ディープステート」の存在 政治家でも官僚でもなく政府の意思決定に関わる人たち、自らもその一員として「北方領土二島返還案」に関与と告白
週刊ポスト
大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
会社の事務所内で女性を刺したとして中国籍のリュウ・カ容疑者が逮捕された(右・千葉県警察HPより)
《いすみ市・同僚女性を社内で刺殺》中国籍のリュウ・カ容疑者が起こしていた“近隣刃物トラブル”「ナイフを手に私を見下ろして…」「窓のアルミシート、不気味だよね」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情