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憂国の商社マンが明かす「日本、買い負け」の現実 肉も魚も油も豆も中国に流れる

黒田東彦日銀総裁(時事通信フォト)

黒田東彦日銀総裁(時事通信フォト)

 商品の買いつけ価格も重要だが、その商品を運ぶことも重要なのに、日本はどうも輸送、こと配送料にお金を払うことを渋る傾向があるような気がする。日本人は配送料無料が当然、ちょっとでも配送料がかかるとヒステリックに怒り出す者さえいる。みなさんもネットショッピングやネットの個人売買で経験おありだろう。このたとえは小さな話かもしれないが、先の大戦でも日本はこの輸送を軽視した。兵站に向かない日本人、何が原因か知らないが、現状の国内輸送の低賃金とありえない過酷な条件を鑑みても、ロジスティックス軽視は日本の悪しき伝統かもしれない。

「とにかく金を渋るんですよ。国内の卸価格を考えたら中国に買い負けるのは当然です。もっと安く出来るだろう、安くしないと客が買わない、客が来ないって、自分たちの価値まで下げている。中国に勝つどころか、まともな買いつけ価格に反映できない」

 別の食肉関係者の話では、中国は捨てるようないらない部位まで買ってくれるというのも理由とか。日本は特定部位しか買わないが、中国はまるごと買う。なんでも食べる中国人らしいが、神経質な相手よりは客として手っ取り早いのだろう。

資源のない国が買い負けるのは恐ろしいこと

 自分たちの価値の軽視、これが翻って日本安い、日本人安いに繋がった。資源のない日本で付加価値のない「優秀な安物」ばかりを作っても、いずれ相手にされなくなることはわかりきっていたはずだ。相手にされないどころか、ついには食料を売ってもらえなくなりつつある。SFみたいな話だが、まったくもって極論ではない。

「アメリカと中国は喧嘩してるようにみえて(食料の)輸出入では仲良くやってるんです。お互いの必要な食料や資源を売買し合ってる。日本を相手にしてもしょうがないとまでは思ってないでしょうが、二の次であることは確かです。」

 よく考えたら性能の良い車なんてなくても生きていける。娯楽だってクールジャパンがなければ死ぬわけでもない。実のところ、マニア気質の日本人が思うほど、世界はそれほど優れたものを欲していない。絶対的な資源という交換物もない上に、日本製の「相手が欲しがるもの」が減っている。だとすれば金しかないが、その金で買い負けている。

「ここまで円が安いと買いつけにも不利で限界があります。通貨の弱さは国の弱さと同じです」

 日本の通貨は「最弱通貨」と呼ばれて久しい。ドル弱含みでも円がそれを上回るほどに弱い。日銀で言えば白川方明総裁時代(2008~2013年)の2000年代の円高(主に民主党政権)と2010年代の黒田東彦総裁時代(2013年~)の円安(いわゆるアベノミクス)でどちらが正しかったかは難しいところだが、緊縮財政と国債買い上げ(当初は金融緩和のはずだったのに……)による円安が現在の買い負けの一因であることは確かである。アメリカはトランプ時代の超積極財政も功を奏した。もちろんそれ以前からのGAFAが象徴するIT企業群による世界的な寡占も後押しした。中国の発展は言わずもがな、である。

「自動車輸出に頼るしかなかったんでしょうけど、それも部品や材料が輸入できてこそでしょう」

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