2016年、マリアライトで宝塚記念を勝ち、GI26勝目(写真/JRA)

2016年、マリアライトで宝塚記念を勝ち、GI26勝目(写真/JRA)

 1次試験は競馬法や施行規則、調教技術、馬の生理学から厩舎を経営するための労働法まで、とにかく幅広い。最近はパワハラやセクハラについても問われます。

 スポーツ選手ってみんなそうだと思いますが、中学を卒業してから勉強というものに向き合っていないんで、何から手を付けていいのか分からない。馬に乗ることに関してはすごく頑張ることができるし、うまく乗るためにどういうトレーニングをしたらいいのか分かるけれど、勉強となるとまるでダメ。まず机の前に座るという習慣をつけることから始めなければならない。しかも年を取ってくると細かい字が読めなくなっていて、答えが云々という前に、問題からして何が書いてあるか分からない(笑)。

 2年続けて1次で落ちました。退路を断つじゃないけれど、こっちは競馬に乗るのを削って逃げ道をなくして勉強しているのにあっさり落第。精神的にもギリギリでした。3回続けて落ちたら受けるのをやめようかと思いましたよ。

【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビュー。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートする予定。

※週刊ポスト2021年11月19・26日号

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