国内

南海トラフ地震 「相模トラフ」と連動なら死者50万人近くの予測も

(時事通信フォト)

地震の影響で水道管が破裂した地域も(10月8日未明=時事通信フォト)

 30年以内に発生する確率は80%と予測されている「南海トラフ地震」。地球物理学者で武蔵野学院大学特任教授の島村英紀さんはこう説明する。

「フィリピン海プレートは、ユーラシアプレートの下に毎年数cmの速度で潜り込んでいます。その動きによってひずみが蓄積していき、やがて限界に達してユーラシアプレートが跳ね上がると、長年危惧されている『南海トラフ地震』が発生します」

 南海トラフ地震が、さらなる巨大地震に発展する危険性も指摘されている。関東地方の南方沖には、南海トラフと同じフィリピン海プレートの境界に「相模トラフ」がある。南海トラフの東端のすぐ近くに位置しているため、南海トラフ地震が相模トラフ地震を誘発し、地震が連動する可能性があるというのだ。立命館大学・環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学さんはこう話す。

「南海トラフ地震と相模トラフ地震が連動するのが、『スーパー南海地震』です。被害は太平洋側の茨城県沖から沖縄県、さらには台湾まで広範囲に及びます。M8.5クラスの巨大地震が立て続けに発生すると考えられます」

 実際、過去には地震が連動した例がある。

 1854年、まずM8.4の「安政東海地震」が南海トラフの東側で発生。その約32時間後に、西側で同じくM8.4の「安政南海地震」が発生している。

「政府は南海トラフ地震の死者数を約32万人と推測していますが、南海トラフ地震と相模トラフ地震が連動して、M9クラスの『スーパー南海地震』が発生した場合、私の試算では50万人近くの死者が出ることになる。その大半は津波によって犠牲になることが予想されます」(高橋さん)

 東日本大震災による死者数は約1万6000人。その30倍以上の犠牲者を出すことになるという。

 南海トラフ地震の場合だが、静岡県や高知県では津波の高さが最大で30mを超えると予想されている地域もある。これは一般的なビルの9階ほどの高さに相当する。東日本大震災の津波の高さは最大で16.7mだったことを考えると、その大きさがわかるだろう。

 津波の到達の速度にも危険が潜む。政府が発表している津波の想定の中には、高知県の土佐清水市に地震発生からわずか4分で34mの津波が到達するという試算もあるのだ。

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン