千葉市での巡回では特殊詐欺へ注意を喚起するアナウンスを事前に録音して走行中のパトカーから流したが、そこには意図があったと明かす。
「これまでは車内でマイクを握り、巡回中に道行く人と出会ったら『〇〇市の皆さ〜ん!』と、呼びかけることが多かったんです。面と向かって声をかけることで意識して耳を傾けてもらえる利点がありつつも、話し続けて声がかすれてしまうと聞きづらい部分もあったかもしれません。その点、録音であれば常にクリアな音声を皆さんの耳へ届けられます。また、春に神奈川を巡回した際にうかがったのですが、スピーカーから流れる音声は風に乗って、少し離れたお宅にまで届くそうなんです。戸建ての2階などではよく聞こえるんですって」
その場にいなくても誰かの耳へきっと呼びかけの声は届いている—各地へ実際に足を運び、1回1回の活動を次へ生かしながらこうして地道にコツコツ種まきを続けることが、重要なのだという。
家族だけでなく地域で団結して
高齢者へ引き続き注意を促すことはもちろん、家族、地域といった周囲が“団結”して高齢者を詐欺から守ることを忘れてはいけないと、伍代は語気を強める。
SOS47でも「家族の絆で詐欺から守る!」「求む! 情報提供!」と大きくアピールした広報用ポスターを新たに作成。ポスターへ目を向けながら、私たちができることを話し始めた。
「特殊詐欺といっても種類はさまざま。『オレオレ詐欺』が主流だった時代には、家族で合言葉を決めましょうと話していたんです。“おれだよ”と電話がかかってきても、“小学生の頃に飼っていたインコの名前は?”なんて家族しか知らない話を合言葉にして身を守りましょう、と。ですが最近主流の『還付金詐欺』は役所の職員などを語り、子供を装わなくなっている。合言葉は万能ではなくなった。それでも、ご家族で守らないといけないのは変わりません。週に1回は電話をするなどして“最近どう?”と、ご家族で近況を語り合う時間を大切にしていただきたいなと思います。
還付金詐欺についてはATMという言葉が出てきたら詐欺だよ、嘘だよ、というのをまずは言い続けることです。ですがお金が戻ってくると言われると、人はつい心が動いてしまうもの。家族だけでなく、地域単位で団結して立ち向かう必要があると思います」
自分の家族や親戚だけではなく、ぜひ隣近所にも注意を向けてみてほしいと促す。