芸能

立川志らくが振り返る談志との関係「他の弟子より明らかに可愛がられた」

立川談志とはどんな間柄だったのか

立川談志とはどんな間柄だったのか

 テレビの世界でも大人気となった落語家・立川志らく。志らくが、伝説の落語家・立川談志の愛弟子だったことを知らない世代も増えているかもしれない。志らくは日本大学芸術学部演劇学科で落語研究会に所属。1985年、サークルのOBである高田文夫氏の紹介で談志に入門した。当時を振り返る立川志らくインタビュー。【全3回の第2回】

 * * *
 私は昭和の名人、古今亭志ん生の長男である金原亭馬生師匠の弟子になりたいと思っていたんですが、1982年に亡くなってしまいました。意気消沈しましたが、その時、亡くなった馬生師匠の思い出話を寄席で語る談志を見て、落語に対しての愛情の深さを感じました。この人の落語を聞かないといけないと、寄席に通い出したんです。それまでは口の悪い議員タレントぐらいの認識しかなかった。それがすごい落語をしていて驚きました。

 でも談志はその翌年には落語協会を脱退して立川流をつくったので、寄席には出られない。しかも上納金まで取る。なにより、談志が怖い。弟子になるのは本当に嫌だったけど、本当に芸が好きなのはこの人しかいない。大学4年の頃は、その葛藤の日々でした。

 その頃、高田文夫先生が落研の合宿に来て、20人くらいいる部員の中で私の落語を聞いて、「才能あるのはお前だけだ。落語家になっちゃえ。なったら売れるよ」と言ってくれました。

「誰の弟子になりたいんだ」と聞かれて、ちょうど高田先生がビートたけしさんと一緒に談志の弟子になった直後だったので、反射的に「先生と同じです」と答えました。「いいセンスしてんなお前。俺が談志の弟子にしてやるよ」と言われ、そのまま弟子入り。当時の談志は、小さん師匠を裏切った形で独立して落語ファンの敵になっていたから、高田先生もそんな言い方をしたんでしょう。

 いざ弟子になってみると、想像を絶しました(笑)。こちらは緊張して口もきけないし、向こうはひたすら小言ばかりだし。私は音楽一家の倅で怒鳴られた経験なんてないし、家のことは何一つせず、シャツ一つ畳んだことがない。のほほんと育てられてきたのが、弟子になった途端に、マーガリンのナイフを刺したまま冷蔵庫に入れただけで「ばか野郎! この野郎!」と怒鳴られる。一挙手一投足に緊張して何をしていいのか分からなくなりました。

 けれど、そのうち他の弟子より明らかに可愛がられるようになりました。誰よりも早く落語を覚えたからです。「落語を二席覚えてこい」と言われたら四席覚えていく。そうしたら「おっ」となるでしょう。家事や用事を完璧にこなすけど芸事がダメな弟子と、雑用はできないけど芸事をしっかり覚える弟子、どっちが愛いやつかといえば、それは後者ですよ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン