中国でも新種発見? 「竜人」化石

 未知なる人類(?)の発見は東アジアでもあった。中国で発見された頭蓋化石がそれで、2021年6月、科学誌『イノベーション』に掲載された3本の論文をもとに、「中国で化石発見の『竜人』 現生人類の最近縁種か 論文発表」(『AFPBBニュース』6月26日付)、「中国で発見された人骨の頭骨、新種『竜人』と報告、懐疑の声も」(『ナショナルジオグラフィック日本版』7月1日付)などと報じられた。

 同論文によれば、中国北東部・黒竜江省で見つかった頭骨化石は14年万以上前のもので、従来ホモ・サピエンスに最も近いとされていたネアンデルタール人よりもホモ・サピエンスに近く、発見場所にちなんで、「ホモ・ロンギ(竜人)」と命名された。

 だが、これを新種とする説に疑問を投げかける声もある。今回の研究に関わっていないスペイン国立人類進化研究センター長のマリア・マルティノン=トレス氏は、「現時点では、すでに知られている他のグループとの違いがはっきりわかりません」と語った。

 英リバプール・ジョン・ムーア大学の生物人類学者ローラ・バック氏も、「この頭骨の特徴の多くは、程度の問題のように思われる」「同じ種であっても、ある程度の違いはあるもの」と、新種と断定することに否定的で、「竜人」が国際的な承認を得られるかどうかは五里霧中というのが現状である。

ネアンデルタール人は「冬眠」「言語使用」していた?

 アウストラロピテクスをはじめとする古代型ヒト属より時代が近く、骨の保存状態がよいせいなのか、ネアンデルタール人に関する研究の進展は際立っている。この1年だけでも、「冬眠していた?」「言語使用の可能性も」など多くの新説が発表された。

 冬眠の可能性について報じたのは「ネアンデルタール人は冬眠していた?』と題する記事(『ニューズウィーク日本版』1月5日付)などで、古人類学専門の学術誌『L’anthropologie』に発表された論文の内容をもとにしている。

 

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